アフリカの視察団が集まる下町工場の秘密 「良い現場」は最高のセールスマンになる

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

仕上げとして、全社の仕事をいったん止めて「工場の丸洗い」を行いました。全員が防塵マスク、ヘルメットを装着し、床を磨き、白線をきれいに引き直します。2週間の予定だったところ手間取って30日もかかりましたが、天井のペンキ塗りにもこだわるなど、最後まで作業を続けたのが父親の英二氏でした。

「うれしかったですね。やり終えた瞬間、皆が一体になった感じがありました」

古参従業員の家族が工場にやって来て、床の白線を踏みそうになった時、その従業員が白線を踏まないように厳しくたしなめたこともありました。これを見た山田社長は、「これで新人、ベテランの心が一つになり、改革の土台ができた」と確信したそうです。

年に約280件の視察

今、評判が評判を呼び、日本だけでなく世界各国から、年間約280もの会社や団体が工場見学に訪れます。冒頭のアフリカからの視察団も、神戸国際協力センターの紹介で、日本のスゴイ「3S活動」の仕組みを見学に来たのです。

この見学が仕事にも結びついています。来訪した会社からは、「こんなに工場がきれいなら信用できる」との評価を受け、多くの取引が成立しているそうです。まさに、「良い現場は最高のセールスマン」が現実のものとなっているのです。

清潔さは、国の豊かさの表れと言われます。北欧やスイスの街並みがきれいなのは、豊かさに裏打ちされた美意識の発露だそうです。日本も負けていません。見えないところで手を抜かずきれいにするのは、日本人特有の美質です。「3S」は、そんな日本人に最もフィットした効率アップ策と言えます。

そして山田社長は、今日もせっせとトイレ掃除に励みながら、日本の良さを世界に発信してくれているのです。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事