仕上げとして、全社の仕事をいったん止めて「工場の丸洗い」を行いました。全員が防塵マスク、ヘルメットを装着し、床を磨き、白線をきれいに引き直します。2週間の予定だったところ手間取って30日もかかりましたが、天井のペンキ塗りにもこだわるなど、最後まで作業を続けたのが父親の英二氏でした。
「うれしかったですね。やり終えた瞬間、皆が一体になった感じがありました」
古参従業員の家族が工場にやって来て、床の白線を踏みそうになった時、その従業員が白線を踏まないように厳しくたしなめたこともありました。これを見た山田社長は、「これで新人、ベテランの心が一つになり、改革の土台ができた」と確信したそうです。
年に約280件の視察
今、評判が評判を呼び、日本だけでなく世界各国から、年間約280もの会社や団体が工場見学に訪れます。冒頭のアフリカからの視察団も、神戸国際協力センターの紹介で、日本のスゴイ「3S活動」の仕組みを見学に来たのです。
この見学が仕事にも結びついています。来訪した会社からは、「こんなに工場がきれいなら信用できる」との評価を受け、多くの取引が成立しているそうです。まさに、「良い現場は最高のセールスマン」が現実のものとなっているのです。
清潔さは、国の豊かさの表れと言われます。北欧やスイスの街並みがきれいなのは、豊かさに裏打ちされた美意識の発露だそうです。日本も負けていません。見えないところで手を抜かずきれいにするのは、日本人特有の美質です。「3S」は、そんな日本人に最もフィットした効率アップ策と言えます。
そして山田社長は、今日もせっせとトイレ掃除に励みながら、日本の良さを世界に発信してくれているのです。
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