あの人が「うつ病」を自覚できない最大の理由 頑張りすぎて治療しないと最悪は命を落とす
最新の調査によると、通院しているうつ病患者数は約96万人(厚生労働省患者調査 2011)。ところが、世界保健機関(WHO)の調査から推計すると、日本のうつ病患者数は360万人から600万人いるとされる。まったく数が合わない。うつ病患者予備軍が、受診の必要性を自覚できず今も苦しんでいる。
筆者は心理カウンセラーという仕事のほかに、うつ病患者の家族を対象に、患者に対する接し方のアドバイスを行っている。言わば「接し方アドバイザー」でもある。その相談の約3割が、「家族がうつ病のような症状を訴えているが病院を受診してくれない」という本人の自覚に関する悩みである。冒頭の事例のように、精神疾患に対する一昔前のイメージから、受診を恐れる人は少なくない。
「本人が望まないのならそれでいいじゃないか」という意見もあるかもしれない。それでも不眠や食欲不振など症状を訴える患者をただ見守る生活というのは、家族にとって酷なものである。うつ病の治療には投薬と休養が必須だ。本当にうつ病だった場合、治療せず放っておいて良くなることはありえない。
うつ病になる人=会社にとって都合の良い社員
とはいえ、「治療が必要かもしれない」と認める行為はそれほど簡単ではない。これは「歯が痛くても歯医者に行きたくない」という心境と少し似ている。歯が痛いという以上に「治療が恐ろしい」のだ。「なぜもっと早く来なかったのか」と医師から咎められることが分かっているのにもかわらず、である。
治療の必要性をみずからなぜ自覚できないのか。その理由は、うつ病になりやすい人の性格傾向と深く関係している。その代表例を3つ挙げてみよう。
仕事を完璧にこなさないと気が済まない。与えられた仕事は最後まで責任を持って「自身の心身がどうなろうと」まっとうする。
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