猫に学びたい!美味しく「ご馳走」になる技術 「おごられ上手」には共通点があります

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上手にごちそうになるうえで、もうひとつ大切なのは、「素直さ」そして「食べるときの姿」です。

上手に催促し、おいしそうに、きれいに食べる

4:「おなかがすいた」を素直にアピール
チュニス旧市街で、たくさんの猫と出会う。狭い路地が入り組んだカスバでは、ネズミ避けのため猫は不可欠だ。「これからしっかり働くから、まだ小さいワタシに、ごはんをちょうだい」と言っているかのよう(撮影:新美 敬子)

猫を飼っている人からよく聞くのは、「うちの猫、おなかがすいたときだけ、『ごはーん』って鳴く」というもの。

先日も、あるお宅でその家の猫の撮影をしていたのですが、いつも「にゃーん」と鳴いている猫が、おなかがすくと本当に「ごはーん」と鳴いたんです。かわいかったです。

猫って、ご飯の催促がとっても上手です。ご飯のボウルの前でお地蔵さんのように座ってお茶碗をじーっと見てたり、飼い主を熱い視線で見上げたり。

人間も同じです。素直に「おなかがすきましたー!」ってアピールされたら、誰だって「かわいいヤツだ」と思っちゃいますよね。

「おなかがすいている」というのは、考えてみれば、最も無防備な状態。そんな無防備な姿を自分にさらけ出してくれているというのは、上司の「おごってやろう」ゴコロ(?)をくすぐる大きなインセンティブになると思います。

5:おいしい顔で一生懸命食べて、食べ残さない
毎朝、近所のおばあちゃんから猫缶を開けてもらう。シシリー島のこの野良猫は、「みゃうみゃう」と声を出しながら、一心不乱に食べていた。「こんな姿を見たら、また明日もやらなくては。自分が元気でいなくちゃと思う」と、彼女は猫を見つめながら語った(撮影:新美 敬子)

猫にも「おいしい顔」ってあるんです。おいしいご飯、好みの食べ物をもらうと、本当にうれしそうな顔で、夢中に食べます。食べている間は一生懸命。食べ終わると、お皿までキレイになめます。

そして食べたあとは「こんなおいしいご飯、食べたことなかったわ」と言わんばかりの幸せそうな顔でグルーミングをします。その姿を見ていると、「かわいいなぁ」と幸せな気持ちがこみ上げてきます。

逆に、おいしくないご飯(安売りの猫缶なんか)をあげようものなら、最初から「ナニコレ?」みたいな顔で寄ってきて、クンクンと、さも不審そうに匂いを嗅ぎ、「フン」みたいな態度。そのまま不満そうに食べる子もいるけれど、「バイバイ」と行っちゃう猫もいます。

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人間も同じで、つまらなそうな顔でチョビチョビ食べたのでは、ごちそうし甲斐がないですよね。しかも大幅に食べ残されたら最悪。「誘うんじゃなかった」と思われかねません。逆においしそうな顔で残さず、一生懸命食べてくれたら、ごちそうする側もうれしくなる。人間も、意外に根は単純だと思います。

別に演技や無理をする必要はなく、おいしいものを「おいしい」といって笑顔で食べる、そして基本は食べ残さない、それで十分だと思います。

ご飯のあとの、猫の「おいしかった顔」を見て、こちらも幸せ気分になれる――。それが人間界で再現できれば、あなたも今日から「おごられ上手」の仲間入りです。

新美 敬子 世界を旅する犬猫写真家

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にいみ けいこ / Keiko Niimi

愛知県豊橋市生まれ。郵便局勤務を経て、テレビ番組制作の仕事に就き、海外の猫を撮りはじめる。その後「犬猫写真家」を名乗り、写真家として活動する。世界各地を旅して街角で出会う犬や猫と人々との暮らしを撮影。訪れた国は70カ国を超える。「猫びより」などの雑誌や写真集でエッセイとともに紹介している。代表作『旅猫』(講談社・フォトルピナス)をはじめ、『マルタの猫』『すて猫カテキン』『猫の旅 地中海』『世界の看板にゃんこ』(すべて河出書房新社)、『猫のハローワーク』『猫のハローワーク2』(講談社文庫)など、著作は60作を超える。近刊は『世界のまどねこ』(講談社文庫)

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