島猫3000匹の「不妊化」は、人間のエゴなのか ペット界の新王者「猫」を取り巻く光と影<中>
徳之島は鹿児島県の奄美群島に属する離島。約2万5000人が住み、徳之島町、天城町、伊仙町の3つの町から成る。日本の医学界に旋風を起こした徳洲会や、かつて長寿世界一に認定された泉重千代さんでも知られる。
この徳之島では猫の野放しが一般的で、今年6月までは小動物向けの病院さえ存在しなかった。そんな徳之島で、島内のすべての猫に不妊手術を施す前代未聞のプロジェクトが進んでいる。
すべての猫に不妊手術を実施
プロジェクトの主体は、公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県芦屋市)。2014年11月に開始したこのプロジェクトの目的は、約3000匹いるとみられる島のすべての猫を不妊手術をすること。世界自然遺産認定を目指す上で不可欠な要素であるアマミノクロウサギが猫に捕食されて絶滅の危機に瀕していることから、3町の依頼で実現した。
事業名は「徳之島ごとさくらねこ一斉TNRプロジェクト」。TNRは捕獲(トラップ)、手術(性を中立にするニューター)、放出(リターンやリリース)の略。自然の摂理には反するが、子猫が生まれて遺棄や虐待、殺処分されるのを止められる。手術後の猫も糞尿の臭さが和らぎ、喧嘩する率も小さくなる。何より一代限りだと分かれば、猫を嫌いな人からの反発が薄まる。
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