相続税対策で借金苦!実家相続の「落とし穴」 慣れないマンション経営で大変なことに

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最初は、驚くほど簡単に部屋が埋まり、退去してもまたすぐに入居者が現れるという好循環でした。借金の返済も順調で、Hさんは「これで安心して老後を迎えられる」と喜んでいました。しかし、マンション経営はそんなに甘いものではありません。しばらくして、Hさんは大きな問題を抱えることになったのです。

マンション経営を始めて数年後、あの東日本大震災が起こりました。この地域は被害もさほど大きくなく、仮に津波がきても避難できる高台があるため、災害のリスクは通常の場所と変わりないのですが、海が近いということが理由で、徐々に人が出ていき、空室が増え始めたのです。

悪徳不動産会社の不当なマージン

しかし、問題はこれだけでは収まりませんでした。マンションのオーナーは、住人が出ていくと、部屋をクリーニングしなければなりません。Hさんは埼玉県に住んでいるため、マンションの管理を地元の不動産会社に委託していました。部屋のクリーニングは、この会社が地元の工務店に発注する形で行われたのですが、その金額を見てHさんは驚きました。これまでの費用に比べ、明らかに高くなっていたからです。

疑念を抱いたHさんは、不動産会社に問い合わせましたが、「これまで作業を発注していた工務店が廃業してしまったので、新たなところに変更しました」という答えが返ってきただけでした。

Hさんから私に相談があったのは、そんなときでした。明細を見た私は、あぜんとしました。その明細書からは、不動産会社が不当に高い中間マージンを上乗せしていることが手に取るようにわかりました。

もちろん、人が動くわけですから、不動産会社が利益を上乗せすることは決して悪いことではありません。しかしこの会社は、Hさんが適正価格を知らないのをいいことに、常識を超える金額を請求していたのです。

不安に思った私は、すぐに現地を見に行きました。すると、掃除や敷地の草刈りもされていないうえ、空室の鍵はポストに入れっぱなしという、管理されているとはほど遠い状況だったのです。これでは、空室が埋まるわけがありません。

さらに、この会社は、Hさんに無断で賃料を下げ、事後報告するということまでしていました。賃貸経営に関する知識がなかったHさんは、それが問題であることにすら気づいていなかったのです。

このケースのように、賃貸経営をオーナーの自宅近くではなく、遠方で行う場合には、地元の不動産会社に管理を委託する場合がほとんどです。そして多くの場合、任せっきりになってしまい、現地の状況をいっさい把握していないという方が多いのです。もちろん、任せっきりにしていたオーナーにも責任があります。

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