《ミドルのための実践的戦略思考》「PDCA」で読み解く大手損害保険会社インド現地法人営業担当部長・浜村の悩み
■理論の概説:PDCA
今回は、浜村さんが言っている「PDCA」という言葉にフォーカスし、考えを深めていきましょう。
PDCAサイクルは、「トヨタ生産方式(TPS、Toyota Production System」の創始者である大野耐一氏が始めた問題解決プロセスをベースに、エドワード・デミング氏が体系化して整理したものだと言われています。今やPDCAサイクルという言葉は経営の世界に閉じた用語というよりは、むしろ日常あらゆる場面で使われる言葉になってきています。
PDCAは、ご承知のとおり、Plan−Do−Check−Actの4つのステップの頭文字をつなげたものになります(下の図を参照)。
当然ながら、この4ステップを一通り行ったら終わり、というわけではなく、最後のActを次のPlanにつなげ、1周ごとにサイクルを向上させて、継続的に業務改善することが重要となります。ここから語られる示唆は、以下のようなポイントが代表的です。
・ 実行(Do)に至る前に、しっかり目標(Plan)を具体的かつ明確にすること。
・ 実行(Do)の後は、評価(Check)によって振り返りを行うこと。
・ 改善(Act)を最後に行うことにより、改善を確実に行い、新たな計画(Plan)に確実につなげること
このあたりまでは、日々の活動から皆さん、よくお分かりのところでしょう。このような個人レベルにおいてPDCAをいかに効果的に回していくのか、ということは、多くの書籍でも語られていますので、敢えてここでは触れません。
今回お伝えしたいのは、PDCAを経営レベルに引き上げたとき、つまり「組織」としてこのPDCAを実践しようとした時に直面する多くの課題についてです。実際、経営レベルでPDCAが効果的に回せている事例はそれほど多くはありません。ここは実はあまり語られていないことでもあるので、このコラムで深めていきたいと思います。