時間に甘い人は、30代以降を乗り切れない 厳しい時間感覚が、人生をぐっと豊かにする

✎ 1〜 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 46 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

私が組織長だった頃に、先ほどの元上司に、「いくら言っても時間どおりに会議が始まらないのですが、どんな工夫をするべきでしょう」と相談したことがあります。すると彼は、常日頃の行動をもっと厳しく自己管理すべきだということと同時に、「時間になったらひとりで会議をはじめよ」とアドバイスしてくれました。

「時間になったらひとりで会議をはじめよ」

たとえば10時スタートの会議で、人もまばら、10時に会議室に入ってくる人もいる、という状況だとしても、知らん顔をして始めなさい、と言うのです。「組織長で議長なのだから、そうできる」と言われ、だまされてみる気になった私は2、3回、それを実行したことがあります。

誰もいない会議室で、「それでは始めます。今日のアジェンダですが……」と話し始めるのはなかなか勇気がいりました。でもやってみたら、メンバーたちはびっくりした表情をし、次には怯えた顔をして、慌てて席につきました(笑)。そして、数回後には、全員が時間どおりにきちんとそろった状態で会議を始めることができるようになったのです。

そういう状況になってから初めて私は意図を話し、「自分の時間も誰かの時間も尊重できる、生産性の高い組織にしたい」と伝えました。それからは言い出しっぺの私としては、まったく遅刻ができなくなりました。いつどこでもダッシュしていたかも(笑)。けれど、働く時間に関する意識はぐっと高まり、残業の少ない職場になっていったのは、とても誇らしいことでした。

周囲からは、「事業特性でそれができる」とか「ワーママが組織長だからそんなマネジメントができる」などと言われたこともありましたが、「またできない人が言い訳してる」と流すことにして、育児をしながら責任のある仕事もし、メンバーたちのプライベートを心から応援することもできたと思います。

将来への不安。それは今が充実していないことと必ずしもイコールではありません。女性の人生には驚くほど多くの選択肢や岐路があり、その選択によって自分はどうなっていくのか、わくわくと不安は両方セットでやってくるものです。

そして、どんな選択をするときも、誰にも平等に与えられた「時間」という資源を、どのように自分のものとできるか、は重要なファクターになると私は思います。今すぐ「不安がなくなった!」といった処方箋にはならないでしょうが、若いうちにそれが身についていると本当に強いし、不安から第一歩を踏み出す力にもなるのではないでしょうか。私も今でも特訓中の身ですが(笑)。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事