トラック古豪の日野自動車、「我慢と成長」の新戦略
日野自動車が新たな成長戦略を打ち出した。
同社は昨2011年度のトラック世界販売が12・8万台と、過去最高を達成した。需要旺盛なASEAN地域で販売が増加し、国内でも復興需要が後押しした。だが、一息つくわけにはいかない。ここにきて、中国や韓国メーカーが急速に台頭。最大のライバルであるいすゞ自動車も、アジア市場で挑戦状をたたきつけてきた。
そこで、日野は大胆な生産体制の見直しに着手。過去最大規模の設備投資に踏み切り、海外生産を急拡大する。生産合理化を徹底することで、さらなる競争激化に備える算段だ。
ベトナムで異変 ライバルいすゞも増強
「ベトナムに出てきている中国車が品質的にレベルを上げてきたときが心配だ」。日野の白井芳夫社長は、こう危機感を募らせる。
近年、東南アジア市場で地殻変動が起きている。異変はベトナムから始まった。日野が5割以上を握っていたベトナムでのシェアが09年に急落、中国の北京福田汽車や韓国の現代自動車などの新興メーカーに逆転を許してしまった。
その最大の要因は「価格」。日野のトラックは中国車に比べ販売価格が2倍近い。いくら品質で勝っていても、消費者は低価格のトラックに飛びついてしまう。今後、海外勢が低価格を維持しつつ品質を上げてくれば、日野の牙城であるタイやインドネシアも危うい。