トラック古豪の日野自動車、「我慢と成長」の新戦略

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エンジンも海外移管 生産現地化しリスク分散

この生産方式を導入しながら、現状約3割の現地調達率を、15年度以降は7割以上に引き上げる計画。輸出の際の関税負担や物流費の削減につながるのはもちろんのこと、海外の組み立て工程を増やすことで、現地顧客のニーズを反映させる狙いもある。

さらに、もう一つの柱が「心臓部」であるエンジンの海外組み立てを敢行すること。これまでエンジンは鋳物生産から組み立てまで国内で一貫生産してきたが、12年夏にはインドネシアで、15年以降にはタイで組み立てを始める。

これはコスト低減と同時に、災害時のリスク分散というもくろみもある。エンジンについては日本偏重の生産体制だったため、東日本大震災などの際に生産停止を強いられた。海外生産に踏み切ることで、安定した供給体制を築く。

日野は14年度に売上高1兆6800億円、営業利益750億円を中期目標として掲げる。利益率を11年度実績2・9%から、14年度4・5%と大幅に引き上げる意欲的な計画だ。目標達成には海外生産の拡大によるコスト低減がカギとなるのだが、この体制を築くための投資も惜しまない。12~14年の間に国内工場の移転費用や海外拠点の増強で、総投資額が過去最高規模の約2310億円に上る。ただ、この積極投資は今後、償却負担としてのしかかる。

ライバル勢に打ち勝つために、生産体制の大転換を決意した日野。償却負担という重荷を背負いながら、成長戦略を描くことができるか。古豪トラックメーカーの底力が試されている。


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(又吉龍吾 =オール投資2012年7月1日号)

記事はオール投資執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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