加藤:高度な知識に触れられる機会がネット上で無料提供されているというのは、子どもたちはもちろん、親にもうれしいことです。地方で学んでいる学生にとってもメリットがありますね。
山内:そうですね。まとめると学習環境へのテクノロジー導入についてはまず問題を学校と学校外で分けて考えなければならないということです。学校に入れるのは大変で、10年から20年かかるかなと思います。後者は、“No Formal Education”や“Informal Learning”と呼ばれていますが、こちらはすでに様々な学習サービスの提供が始まっています。
日本の公教育で提供されているもの・いないもの
加藤:学校の外にも注目しなければいけないということですね。その点に関しては、生徒だけに限ったことではなく、教師も一緒だと思います。ICTやテクノロジーを利用して教師が知識を蓄えることは現にできますから。しかし、学んだからといってメディアリテラシーやコミュニケーション能力などの“ソフトスキル”を先生が生徒にわかりやすく教えられるかと考えると、とても厳しそうな感じがしています。
山内:それは「21世紀型スキル」の話ですね。
加藤:はい、そうです。
山内:21世紀型スキルは、アメリカを中心に多国籍フレームワークで検討されてきた、創造性・問題解決力・批判的思考力・多言語コミュニケーション能力・チームで仕事をする能力・情報リテラシー・多文化理解を含む包括的な教育目標体系ですが、OECD加盟国ではこれらの項目の全てではないにしろ、学校教育を変革して取り入れようとしています。
従来のいわゆる「工業社会型」の人材育成目標だけではなく、専門性を持った教員が時間をかけて教えるというプラスアルファが必要であるということです。このような高度な能力を育てようとすると、最終的には学校が21世紀型スキルに対応した姿に変わってしっかりと教える必要があると思います。
加藤:「工業社会型」から「21世紀型」への転換期ということですね。
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