太田彩子(以下、太田):酒井さんのご著書は、初めて会う前からずっと読ませていただいていました。『はじめての課長の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、今いる会社の社内研修でも使わせいただいたくらいで、個人的には憧れの作家さんです。
酒井穣(以下、酒井):いやいや。でも、ありがとうございます。
誰もコントロールできない「問題」に悩まなくていい
太田:もちろん最新作の『ビジネスパーソンの父が子どもたちに伝えたい21世紀の生き方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も読ませていただきました。子育てに悩む親だけじゃなく、自分の将来に漠然とした不安を持つビジネスパーソンにも響く内容だと思います。
この本にも書かれているように、日々、ビジネスや社会のルールはめまぐるしく変わっています。私が主宰する営業部女子課でも、「今までの売り方では通用せず、将来がまったく見えない」「昨日まで売れていた商品が急に売れなくなった」といった不安や悩みを聞きます。これに苦しむ女性が多くいるのですが、どうしたらいいでしょうか?
酒井:僕はそういった不安は解消しなくてもいいと思っています。だって、僕も太田さんも数年先のことなんて予想できないじゃないですか。この対談の後に、何か事故や災害に巻き込まれるかもしれない。でも、そういう悩みは、自分でコントロールできない性質のものです。だから、そこまで怖がらなくてもいいと思います。
悩むよりは、自分やまわりの人が持つ不安を理解して、その不安に共感を示すところまでが、まず重要だと思います。自分が不安なら、自分のことはともかく、同じ不安を感じている他者のことをケアするということです。
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