太田彩子(以下、太田):酒井さんはこれからの時代、どんな女性が活躍していくと思いますか?
酒井穣(以下、酒井):これは女性に限らず、仕事全般における話なのですが、「努力を過信しない人」ですね。
太田:一般的には「努力は人を裏切らない」と言われていますが、そうじゃないと?
酒井:いや、努力は重要ですよ。でも、ちゃんと成績を残す人は、努力だけで成績を残せたとは思いません。たとえば、野球なら努力次第でバッターボックスに立つことができると思います。でも、そこから3割バッターやホームランヒッターになるには、努力だけではないですよね。誰もが努力だけでイチロー選手みたいになれるわけではありません。
その「努力以外のなにか」の中身には運や才能もあるでしょう。ですが、それだけではないと思います。会社の中も同じで、ただひたすらに自己犠牲的に働いてきた人が、部長や役員になるとは限らないじゃないですか。
今どき「コバンザメ部下」はハイリスクすぎる
太田:たしかに、そこは予想しにくいですね。
酒井:繰り返しますが、努力は大事ですよ。ただそれ以上に、簡単に言ってしまえば「努力の方向」を考えることが大事なんです。たとえば、「やるべきだ」と感じている勉強を放置していたりしないでしょうか。ずっと一生懸命働いていても、いまだに英語ができないとか、経営学の基本的なことがわからないとか、そういうことになっていないでしょうか。
太田:きっと努力や結果だけが出世のポイントではないですよね。
酒井:大抵の場合、会社で出世するためには2つのパターンがあります。ひとつは、自分の「上司のコバンザメになる」タイプ。その人に運があれば、上司が出世する毎に、自分も上のほうに引っ張ってもらえるかもしれない。その代わり、上司が出世するかは予測できないし、上司が失墜した場合、自分も閑職に追いやられるかもしれない。
太田:かなりハイリスクですね。
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