――ここまで聞くと、「日本はもうインドに太刀打ちできないのでは」と不安になる読者もいそうです。
松本さん 僕は、インドに長く住んだからこそ、日本の教育をもっと誇っていいと思うようになりました。
人口1億人以上の国で、識字率がほぼ100%。ほぼ全員が四則演算を当たり前にできるというのは、実はかなり特別です。街も極端に汚れていないし、公共空間の秩序も保たれていると言っていい。これは、小中高までの学校での公教育・私教育それぞれの水準が一定レベルを満たしており、そしてそれが全国規模できちんと機能している、という側面が一定あるのでは、と私は思っています。
もちろんインドでも日本でも、それぞれのエリアによってとか、首都圏と地方だと全然環境違うよね、とか、都道府県によっても私立と公立でだいぶ状況違うよね、とか、高額な塾や予備校に行ける人は限られているよね、とかいろんな差はあるので、もちろん「日本」というくくりで一概には言えない部分もあるんですけれど、「いろいろな意味での平均水準を高いレベルで保つ、増やす」という観点において、日本の学校教育が果たしている役割は、かなり重要であり、そこに対して誇りを持っていい、と思います。
日本の教育は「底上げ力」が世界トップクラス
松本さん 日本の学校の先生は世界一忙しいとも言われますが、総じて見れば「誰も取り残さない教育」を高いレベルで実現している。これはインド人から見ると、相当うらやましいポイントだと、私は理解しています。逆に言えば、いろいろな業務をやりすぎている、そこまでしなくていいレベルで先生が責任を負ってしまっているがゆえに、日本の先生が世界一忙しいと言われたり、実際にバーンアウトになってしまう先生がいるといった問題には向き合わないといけないですが。
例えば、家庭訪問って、説明しようとしてもまったく理解されないんですよね。「先生が自分の家に来る……なんで?」「教員一人一人が、そこまで生徒一人一人に対して丁寧にフォローしているのか……すごすぎる」と。



















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