50代で「リストラ」された孔子と、完璧なマニュアルを残したマーニー…歴史が教える事業継承のパラドックス
トップがすべてを決めすぎると、次の世代は思考停止に陥り、組織の寿命を縮めてしまうのかもしれません(写真:takeuchi masato/PIXTA)
「自分が去った後、この組織はどうなるのだろうか?」
40代、50代のビジネスパーソンであれば、ふとそんな継承への不安に襲われる日があるかもしれない。
尾登雄平氏の『教祖の履歴書』は、偉大な教祖たちの人生を現代のビジネス用語に大胆に置き換えて読み解く異色の歴史書だ。本書には、組織のリーダーやマネジャーにとって、痛烈な教訓となる2人の対照的な人物が登場する。
1人は、50代で国を追われ、曖昧な教えだけを残して死んだ孔子。もう1人は、完璧な組織とマニュアルを作り上げ、世界的大企業を創業した天才マーニー。
一見、マーニーのほうが優秀な経営者に見える。しかし、歴史の審判は残酷だ。孔子の教えは数千年残り、マーニーの組織は消滅した。本記事では、2人の「引き際」と「残したもの」の違いから、組織を長生きさせるための意外な条件を探る。
孔子:50代で陥った「キャリアの死の谷」
儒教の祖として知られる孔子ですが、実は彼のキャリアは順風満帆とは程遠いものでした。
貧しい環境から独学ではい上がった彼は、いわば「学歴フィルター」にかけられ、なかなか一流企業への就職が叶わなかった苦労人です。
そんな彼に転機が訪れたのは53歳のとき。
ようやく大国・魯(ろ)にスカウトされ、「司寇(しこう)」という要職に就きます。現代で言えば、一流企業の「経営戦略室長クラス」への大抜擢といったところでしょうか。
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