子どもの死後、何年もの間、部屋が手付かずのままだったというケースも珍しくない。遺族である親が片付けを決意するまでには、長い時間が必要となる。その「最後の一歩」を踏み出すきっかけは、何なのだろうか。
「何か明確なきっかけがあるわけではない。こればかりは、時間だけが解決してくれることだと思います。子どもの遺品をすぐに捨てたいと思う親は、依頼者の中では見たことがないし、すぐに片付ける必要性もない。子どもの荷物を置くスペースをとるために、自分の荷物を捨てる親もいるくらいです」
遺品整理は、効率を求める作業ではない。とくに、子の遺品整理においてはそうだ。
「非効率で当たり前だと思います。そもそも急ぐ必要はありません。これは、配偶者を失った方もしかりですが、片付けたいけど、なかなか片付けられないのなら、無理に片付ける必要もないと感じています」
すべて捨てることはできなかった
作業は淡々と進んでいったものの、今回の片付けで母親は部屋に残されたモノをすべて捨てることはできなかった。
3回目の依頼があったのは、それから3カ月後のことだった。依頼内容は、今度は母親が住んでいる部屋を片付けるというものだった。その空いたそのスペースに、前回残しておいた娘の遺品を搬入するのだ。
娘が住んでいた賃貸マンションは空になり、母親は娘の遺品を自宅に迎え入れることができた。最初の依頼から、約4カ月が経過していた。
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