「ゴミ収集車に吸い込まれる勉強机」を見て、泣き崩れた両親…それでも業者に片付けを依頼する《子を亡くした親》の胸中

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子どもの死後、何年もの間、部屋が手付かずのままだったというケースも珍しくない。遺族である親が片付けを決意するまでには、長い時間が必要となる。その「最後の一歩」を踏み出すきっかけは、何なのだろうか。

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「何か明確なきっかけがあるわけではない。こればかりは、時間だけが解決してくれることだと思います。子どもの遺品をすぐに捨てたいと思う親は、依頼者の中では見たことがないし、すぐに片付ける必要性もない。子どもの荷物を置くスペースをとるために、自分の荷物を捨てる親もいるくらいです」

遺品整理は、効率を求める作業ではない。とくに、子の遺品整理においてはそうだ。

「非効率で当たり前だと思います。そもそも急ぐ必要はありません。これは、配偶者を失った方もしかりですが、片付けたいけど、なかなか片付けられないのなら、無理に片付ける必要もないと感じています」

遺品整理
普段の現場と比べてもそれほどモノの量は多くなく、あっという間に室内からは何もなくなった(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

すべて捨てることはできなかった

作業は淡々と進んでいったものの、今回の片付けで母親は部屋に残されたモノをすべて捨てることはできなかった。

3回目の依頼があったのは、それから3カ月後のことだった。依頼内容は、今度は母親が住んでいる部屋を片付けるというものだった。その空いたそのスペースに、前回残しておいた娘の遺品を搬入するのだ。

娘が住んでいた賃貸マンションは空になり、母親は娘の遺品を自宅に迎え入れることができた。最初の依頼から、約4カ月が経過していた。

遺品整理
きれいに片付いたキッチン周り(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
遺品整理
とっておいた娘の遺品は、母の自宅に運び込んだ(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)
國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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