これは勉強に限ったことではありません。家の手伝いにしても、部活動にしても、目的を理解して行うのか、ただ漫然とやっていたり、「やれ」と言われてやっているのかで、子どもの成長の方向性は大きく変わっていきます。
「しなさい」を手放す勇気
では、親の立場としてどうすればよいのでしょうか。
代わりに、「なぜそれをやるのか」を一緒に考える時間を持つことが大切です。たとえば宿題であれば、「宿題って何のためにあると思う?」「やるとどんな力がつくんだろう?」と問いかけてみるのです。
もちろん、子どもは意味があるとは思っていません。だからやらないのです。そこで、「もし意味がなかったらとっくに勉強、宿題、学校というのはなくなっているはずだよね。今もあるということは意味があるからじゃないかな?」という問いです。
これを「意味を考える」と言います。つまり、明確な答えがなくても、意味はあるだろうというだけで、モチベーションは動き出します。
こうしたプロセスを何度か踏むうちに、子どもは「意味を考える習慣」ができてきます。そうした学ぶ意味を共有できれば、子どもはやがて「宿題は自分の力を試す場なんだ」「授業の理解を深めるためなんだ」と気づいていきます。
ただし、大抵は、すでにこれができない段階にまで進んでいることもあります。つまり言わないと子どもが全くやらない状態です。その状況では、上記の方法は、いきなりは通用しません。
その場合は、「雑談」という手法を使って進めていきます。雑談とは日常の話題にもしなくてもよい程度の話題をテーマとして話すことです。子どもが話したくないテーマには一切触れません。こうした雑談を繰り返していると、親子の信頼関係が深まり、やがて子ども側から勉強や宿題の話が必ず出てきます。
「今すぐやりなさい」ではなく、「宿題は今日のどの時間にやる?」「勉強とゲーム、どちらを先にする?」と聞くことで、子どもは自分で決める主体性を持てます。
ただしこれも、宿題や勉強のテーマに親がいきなり触れると荒れることが一般的であるため、親子に信頼関係ができていない状況では、雑談で信頼関係を作ってから行ってください。
大切なことは、親の指示命令によって動くのではなく、子どもの選択によって動くという構造を作ることです。宿題であれば、「どの時間帯にやる?」という問いもありますが、「やるかやらないか」という問いもあります。



















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