「客との対面」が苦手だった販売員を【ファン】が生まれるまでに成長させた"たった2つのこと"
駅前でチラシを配ったり、ポスティングをしたり、声を上げて呼び込みをしたりして会場に集まったお客さんに商品の紹介をして販売します。時代と地域性もあって毎回100名前後、多い時には200人ほどの人が集まってくれていました。
メインの商品紹介は経験値のある先輩が行い、新人は雑用が基本でした。
集まったお客さんの前で一番セールストークの上手い社員が商品説明を行う「インストラクター」という役割を担い、商品説明後に「ワキ」と呼ばれていたインストラクター以外の社員や新人がお客さんのもとに行って「さっきの商品、買いませんか?」と売り込み、注文を取る役割でした。
そして自分が注文を取った件数が成績になる、という仕組みです。
その中でも、わたしは主に「受付」をしていました。会場に集まったお客さんに名前を聞いて、受付表に記帳する。そして散らかった靴を直したり、下駄箱に入れたり、清掃をしたり。そこで徹底していたのが「相手の名前を覚える」ということでした。
地域性の強いビジネスであったため常連客も多く、覚えていないと機嫌を悪くする人、中には少し怒る人などもいたため自然と身に付いたものでもありましたが、覚えておいて「田中さん、今日もありがとうございました」など一声かけると相手も喜ばれるし、「鈴木さん、もうお名前書いときました」など仕事もスムーズになったので、相手の顔と名前を一致させる、ということには集中をしていました。
わたしの「ファン」が生まれた瞬間
毎日の掃除。受付の業務と相手の名前を覚える。この2つのことをしていると、遂にわたしに転機が訪れました。
いつものように受付をしていると、あるお客さんから「今日はあなたから買うから、注文票に名前書いておいて」と言われたのです。
想像もしていなかったひと言だったので、「え? どうゆうことですか? なんでですか?」と聞き返したところ「あんた、わたしのこと覚えてないの? 毎日掃除してるの見てるよ」と言われました。
名前は分かるものの「なんでこの人が、店が開く前の掃除のことを?」と不思議に思っていると「駅前の立ち食い蕎麦屋で働いてるから、毎日あなたが掃除してるの見てるのよ」と教えてくれました。



















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