教科書に載るほどガチの"シャッター街"の大変化 JINSの田中仁CEOが私財投じるなど民間主導で"衰退した地元"を再生中《前橋》
そんな橋本さんが生み出したのがアートレジデンス「まえばしガレリア」です。まず目を引くのは、建築家の平田晃久氏が大きな樹冠をイメージして設計したという建築デザイン。緑化された上階には26戸のレジデンスが浮かぶように並び、足元にはフレンチレストランと2つのアートギャラリー、さらに広場がつくられています。
橋本さんによれば、この場所にはかつて映画館があり、閉館してからは一時期スーパーになった後、更地のまま街の広場として使われていたそう。
夏祭りを開くなどコミュニティの場として活用されていた時期もありましたが、周辺に飲み屋が増えるに連れて夜のたまり場化。治安面の不安もあって所有者である前橋市が不動産会社に売却し、アパート2棟が建つことが決まっていたといいます。
「この土地は450坪もあって、せっかく街を再生しようと盛り上がるなか、普通のアパートを建ててしまうのはもったいない。地元の人たちからもアパート建設に対して疑問の声が上がり、一緒に協議するなかで、公共性もある文化施設という方向性が浮上しました。
その中でアートギャラリーというアイデアが生まれました。ギャラリーは美術館のように有料ではないので、街の人たちも気軽に立ち寄ってアートを鑑賞できます。とはいえ、土地はすでに売却済み。買主に掛け合って売ってもらうことができたんです」(橋本さん)
具体的なプランを練るなかで、プロデューサーや関係者が重視したのは遠方から足を運ぶ価値のあるギャラリーにすること。そこで声をかけたのが、「タカ・イシイギャラリー」と「小山登美夫ギャラリー」という東京のトップギャラリーでした。
地方でアートが売れるかどうかの検証はビッグニュース
「どちらもアートコレクターからの支持は厚く、前橋まで人を引き寄せる魅力があります。一方、ギャラリー側からしても東京に比べると固定費の安さという点でメリットがあるんですね。地方でアートが売れるかどうかを検証するよい機会でもあり、『面白いね』と受けてもらえたんです。これって業界的にはビッグニュースなんです」(橋本さん)


















