
足元が広がったフシギな形状(写真:筆者撮影)
思わず足を止めて眺めてしまうような、街中にある少し変わった形をした物件ーー。
いったいなぜ、そのような形になったのか。そこには、どんなドラマがあり、どのような生活が営まれているのか。
連載「『フシギな物件』のぞいて見てもいいですか?」では、有識者や不動産関係者に話を聞き、“不思議な物件”をめぐるさまざまな事情に迫る。
【後編を読む】川崎にある団地「逆Y字型」に浮かぶ"数々のナゾ"
日本で唯一の逆Y字の住棟
JR川崎駅を降り、北西へ向かう。駅周辺はラゾーナ川崎やビル、マンションが立ち、開発された街の雰囲気が漂う。
しかし、道路を渡ると街並みはガラリと変わる。
住宅や商店が並び、道幅が狭くなった。細い道を歩いていくと、視線の先に白い大きな住棟が現れる。そこは団地で、近づくとフシギなオーラを放つ住棟が目に飛び込んできた。
団地というとまっすぐ伸びる箱型の建物が思い浮かぶ。だが、その住棟は足元が階段状に広がり、地面に踏ん張るように立っていた。
白いブロックを積み上げたような幾何学的な形状。SF映画に出てくるような近未来都市を彷彿とさせる光景だ。

迫力のある外観(写真:筆者撮影)
このフシギな建物が立つのは、神奈川県川崎市幸区、河原町にある「河原町団地」だ。
気になる住棟を正面から見ると、アルファベットの「Y」を逆さまにした「逆Y字」の形をしている。14階建てで、足元の階段状の部分は1階から5階まで、その上にまっすぐ住棟が伸びている。
そんな逆Y字の下の部分はどんな世界が広がっているのか。事前に連絡を入れ、中に足を踏み入れた。
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