川崎にある団地「逆Y字型」に浮かぶ"数々のナゾ" 費用面はどうだった?有名建築家が建てた世界観に触れる

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川崎 河原町高層住宅団地
河原町団地の14階建の逆Y字住棟(写真:筆者撮影)
思わず足を止めて眺めてしまうような、街中にある少し変わった形をした物件ーー。
いったいなぜ、そのような形になったのか。そこには、どんなドラマがあり、どのような生活が営まれているのか。
連載「『フシギな物件』のぞいて見てもいいですか?」では、有識者や不動産関係者に話を聞き、“不思議な物件”をめぐるさまざまな事情に迫る。
【前編を読む】川崎にある「SF感が漂う団地」の圧倒される光景

逆Y字の住棟のさまざまな謎

神奈川県川崎市・幸区の団地に、「逆Y字型」のフシギな形の住棟がある。

団地というと、まっすぐ伸びる長方形の建物が思い浮かぶ。だが、その住棟は裾を広げたような形で、地面に踏ん張るように立っていた。設計者は、国立京都国際会館を手がけた建築家の大谷幸夫さん(1924–2013)だ。

白いブロックを積み上げたような幾何学的な形状は、SF映画に出てくる近未来都市を彷彿とさせる。

記事の前編では、この「河原町高層住宅団地」ができた背景を、大谷研究室出身で竣工当時を知る河野進さんに話を聞きながら紐解いた。後編では、逆Y字型にしたことでかかった費用や間取りなどさまざまな謎に迫る。

【20枚の写真を見る】これが団地?中にも広がるフシギな光景。名建築との共通点も

さて、逆Y字の住棟の間取りはどのようになっているのか。

『神奈川県住宅年報』には、3DKのシンプルな間取りが載っている。

セットバックした低層部の住戸は、正方形のバルコニーが配置されている。上から光が差し込み、バルコニーに面した和室に南からの光が入る。

バルコニーの隣の和室は、天井が少し低くなっていて、和室の隣にある台所との境目に設けた欄間から台所にも光が入る。そこからは風も入り、通路側には床下通風の仕組みも。採光と通風の工夫が施されている。

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