教科書に載るほどガチの"シャッター街"の大変化 JINSの田中仁CEOが私財投じるなど民間主導で"衰退した地元"を再生中《前橋》
気になるのは民間資金の出所ですが、「太陽の会」からの寄付金3億円が原資になっています。太陽の会とは市内に拠点を置く企業家有志により結成された組織。毎年一定額を寄付金として拠出し、まちづくりに活用しています。当初は24社だった参画企業は現在65社に増えているそうです。
「ただし、よいものをつくるには寄付金だけでは足りないため、前橋市でもさまざまな形で支援をしています。その一つがソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の導入。事業の成果に応じて前橋市がMDCに報酬を支払う仕組みで、まちづくり分野での採用は全国初です。
さらに、前橋市と国土交通省が協議をした上で、全国第1号となる民間都市開発推進機構の『共助推進型まちづくりファンド支援事業』を活用しました。『前橋市アーバンデザインファンド事業』を通じて受けた1億円の助成はハード面以外にも使えるので、馬場川の管理資金にも充てられています」(纐纈さん)
モデルプロジェクトは対外的なプロモーションを積極的にかけ、「先進的まちづくり大賞・国土交通大臣賞」、「グッドデザイン賞」など数々の受賞をしています。纐纈さんによればこうした賞も戦略の一つ。
「受賞により市民の注目が集まり、『自分たちも何かやってみよう』という人が増えればまちづくりの裾野が広がります。『他人ごと』でなく『自分ごと』に捉えてもらうのが、前橋のまちづくりには欠かせないのです」(纐纈さん)
「白井屋ホテル」が街のランドマークに
一方で、民間独自のプロジェクトで街を変えていこうという機運も高まっています。
象徴的なのが「白井屋ホテル」です。このホテルの前身は江戸時代からの歴史を持つ「白井屋旅館」。森鴎外をはじめ著名人に愛された名旅館も街の衰退から廃業を余儀なくされ、取り壊しの危機にありました。そこで立ち上がったのが「JINS」の田中さんです。
私財を投じて設立した田中仁財団が旅館を買い取り、約6年半の歳月をかけてアートホテルとして再生させたのです。


















