武士を辞めて戯作者の道へと突き進んだ
おっちょこちょいな弥次さんと喜多さんの2人組が、行く先々でトラブルを起こし、東海道を通って江戸から京都・大坂へ旅をする――。
そんなお笑い要素満載でありながら、旅行ガイドとしても役に立つ『東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)』。作者の十返舎一九を大河ドラマ「べらぼう」では、井上芳雄が演じている。どんな人物だったのだろうか。
十返舎一九は明和2(1765)年、駿河国府中(現在の静岡県静岡市葵区)で、下級武士の子として生まれた。本名は重田貞一。
若くして江戸に出て武家奉公をしたのちに、天明7(1787)年には大坂に移り住んでいたようだ。一説には、江戸で駿府町奉行の経験を持つ旗本・小田切直年に仕えて、小田切が大坂町奉行に就くとともに、上方に赴任したともいわれる。
大坂では浄瑠璃を学び、「近松余七」の名で『木下蔭狭間合戦』(このしたかげはざまがっせん)という合作浄瑠璃を作った。私生活では、材木商に入り婿としたものの、逃げ出したとも言われている。



















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