「会議で意見を聞いても口を閉ざす」「資料作成の指示も曖昧な返事」…何を言っても響かない若手メンバーの"本心"

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今の40代や50代が経験してきた、限られた情報にしか接することができず、リーダーの言っていることの正否を精査すらできなかった時代とは、もはや状況が異なります。現代の若者たちは、知識も情報も幅広く、驚くほど賢いのです。

そんな彼らに、上から目線で「教えてやろう」「言うことを聞かせよう」としても、決して受け入れてもらえません。

かつて、チームの中にあった「情報の非対称性」は完全に失われました。リーダーが情報を独占し、教えることで支配する時代は終焉したのです。そして、そんな若い世代に力を最大限発揮してもらうためには、「仕事で何を得られるか」を明確に伝えることが大切です。

「このチームでがんばれば、成長できる」

「このリーダーは、自分を認めてくれている」

こうしたメッセージを、ただ言葉で伝えるのではなく、日々の行動や接し方でも示していく必要があります。

「わかったふり」が一番冷める

さらに、世代間の壁をとっぱらうためにリーダーが取り組むべきは、やはり、とにかく聞くことです。傾聴です。

そして、指示や答えを出すのではなく、メンバーと「一緒に考える」時間を作りましょう。リーダーだからといって、若いメンバーの前で気を張る必要はありません。決して「わかったふり」などしないことです。

今の時代、「わからないこと」は恥ずかしいことではなく、むしろ当然のこと。どんなに経験を積んだリーダーでも、答えがすぐに出ないことは無数にあります。世の中はわからないことだらけです。誰もが学びながら進んでいます。

『任せる勇気: チームの熱を生み出す「マインドセット」』
『任せる勇気: チームの熱を生み出す「マインドセット」』(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

わからないなら調べればいいだけ。調べるツールは身近にいくらでもあります。「私もわからないから、一緒に考えよう」と言えるリーダーのもとであれば、メンバーは安心して意見を出し、挑戦し、成長できます。

若い世代が求めているのは、意見や指示を押し付けてくる旧来型のリーダーでも、背中だけを見せて引っ張るリーダーでもありません。

自分という人間を認めてくれる人。

性別、年齢、役職に関係なくフラットに接してくれる人。

意見を交わし合える人。

そして、一緒に成長しようとしてくれる人。

彼らが求めているのは、そんな「共育者」としてのリーダーなのです。

迷いながら、手探りでも大丈夫。「わからない自分」を隠して接するのは、もうやめましょう。

五十嵐 剛 株式会社リーダーズクリエイティブラボ 代表、いきいきチーム創り仕掛け人

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いがらし つよし / Tsuyoshi Igarashi

長野県東御市出身。上田高校卒。東海大学卒業後、長野市のNECグループ会社に入社し、NEC本社に逆出向。実績を認められて移籍。中央官庁の大規模システムプロジェクトを担当するなど、リーダーとして多様な現場を経験。年間売上600億円、メンバー1000人超のプロジェクトを率い、NECグループ12万人の中から年100人しか選ばれない社長賞を前代未聞の4度受賞。しかし、その裏で「指示型リーダー」として任せられない苦悩を重ね、突発性難聴を発症。孤独の中で「任せる勇気」こそがチームを動かす原点だと痛感し、トップダウンとボトムアップを融合させた独自のマネジメントスタイルを確立。すると、わずか半年で危機的プロジェクトをV字回復へ導く。

2023年にNEC を定年退職。株式会社リーダーズクリエイティブラボ代表取締役CEOに就任。チームを自律に導くリーダーの育成や、結果を出すチームビルディングを支援している。著書に『結果を出すチームのリーダーがやっていること』(すばる舎)がある。

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