「会議で意見を聞いても口を閉ざす」「資料作成の指示も曖昧な返事」…何を言っても響かない若手メンバーの"本心"

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NEC時代の私も、世代間の壁に悩まされたことがあります。

何を言っても響かない若いメンバーがいました。プロジェクト会議でアイデアを求めても、口を閉ざしたまま。資料作成の指示を出しても、返ってくるのは曖昧な返事や無難な内容だけ……。

私はどう接すればいいのか迷いに迷い、半ば自棄気味にこう尋ねてみたのです。

「あなたは、どうしたいの? 遠慮せずに言ってみて」

すると、出るわ出るわ……。次々とアイデアを出してくるのです。それだけのアイデアがあるなら最初から出してくれとも正直思いましたが、続けて彼はこう答えてくれました。

「まずは、リーダーの話を聞いて方向性を確認してから、意見したかったんです」

この一言に、私はハッとしました。彼のほうがよほど大人で、私自身が本音に向き合えていなかったのです。

組織がまず手放すべきもの

私はNECを定年退職した後、システムコーチングの研修や出版活動を通じて、多くの異業種の方や若い世代の人たちと、フラットに接する機会に恵まれました。彼らにとって私は評価者ではないので、みなさん正直に本音で接してくれます。

だからこそ、気づけたことがあります。

若い人たちの向上心や行動力、考える力は、私たちが想像している以上にたくましい。そして、成長願望や利他心、社会貢献の思いもしっかりと持ち合わせているのです。世代は違えど、根底にある志は同じでした。

それなのに、「先輩を立てなければ……」「リーダーに従わなければ……」といった忖度が、若者の力を押し殺してしまう。組織の中で過剰に上下関係を意識させられた結果、彼らの才能はフタをされてしまうのです。

だから、忖度は排除しなければなりません。

特に1990年代以降に生まれた若者たちは、幼い頃からネット環境やSNSに接してきた世代です。大量の情報をさばくのに長けており、最新のニュースやトレンドにも敏感です。「こうあるべき」という旧来の価値観も、驚くほどの速さで簡単に入手できます。

正確性を見極める能力も持っていますから、先輩やリーダーの言葉を鵜呑みにはしません。こちらが的外れなことを言うと、聞いているような顔をしながら、内心ではスルーしています。

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