『国宝』と比較される『宝島』だが…ストーリーは難解、それでも沖縄県民の私の心が震えた訳「空前規模の"あのシーン"解像度の高さ」に驚き
史実に基づいたシーンはほかにもある。学校に米軍機が墜落したのもそうだし(宮森小学校米軍機墜落事故、1959年)、毒ガスの沖縄県内の備蓄もそうだった。
「くぬ島は変わったか」今の自分はどう応える?
沖縄に住んでいるとて、普段から沖縄の現代史を意識しながら生活しているわけではないが、このような作品や表現に触れるたびに「日本人というマジョリティでありながら沖縄人というマイノリティだな」と自覚させられる。
ただ、こうやって振り返ったときに、マイノリティの視点から一つ誇れることがあると気が付いた。かつて沖縄の人々は日本への復帰運動を通して、自分たちのアクションで民主主義、憲法、人権を自発的に勝ち取ろうとしたし、それを後押ししたではないか。これは日本全体で見ると珍しい歴史だと思う。「民主主義は勝ち取るもの」という市民感覚がこのとき育ったはずである。
本作で、かつてのリーダー格・オンちゃん(永山瑛太演)は仲間たちに力強くこう言った。「くぬ(この)島は変わるよ」。自分たちの島を自分たちに取り戻そうとして放ったであろうこのワードに対して「くぬ島は変わったよ」と胸を張って言えるのか。アクションを起こし続けているのか。そういった覚悟を問いただされている気持ちになる。
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