生命エネルギーの元「肺」の働きを高め、呼吸器・メンタル不調を改善する生活術――今すぐ摂りたい食材・始めたい生活術を漢方の専門家が指南

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繰り返しますが、肺は気を作り出す重要な役割を担っているので、肺に異常をきたすと、疲れやすい、気力が出ないといった「気虚(ききょ)」の症状が表れてきます。

気虚とは気が不足した状態をいい、疲れやすい、気力が出ない、気持ちが落ち込む、といった症状が特徴的です。免疫力も低下してしまうので、風邪をはじめ、さまざまな病気にかかりやすくなります。

また、体が冷えやすくもなります。

肺を元気にしてメンタル回復

さらには、肺は精神面のなかでは“悲しみの感情”と深く関わっています。

肺が健やかでしっかり機能していれば、メンタルも安定してバランスよく機能しますが、肺の働きが落ちると、ささいなことで落ち込んだり、悲しくなったりします。秋は感情的になる季節というのは、まさに肺の働きが弱っていることを示しているといえるのです。

少し前になりますが、筆者はこんな方を診たことがあります。

喘息を発症された60代の女性で、病院で診てもらい、薬を使ってもゼーゼーする症状がとれず、筆者の薬局に相談に来られました。話を聞くと、1カ月ほど前に家族の一員としてかわいがっていた愛犬が亡くなり、毎日泣いて暮らしていたとのこと。そのころから症状が出てきたといいます。

そこで、筆者が弱った肺の働きを補う漢方薬を処方し、服用を始めてもらいました。また、その頃に新しい家族(犬)を迎え入れたそうです。すると、うそのようにゼーゼーする症状が治ったとのことで、うれしそうに報告してくださいました。

もちろん、喘息症状があれば病院を受診してしっかり診察してもらい、治療することが大前提です。ですが、このように漢方が有効なケースもあるんですね。

感傷的になりやすい、いつもより涙もろい、ため息が多い、落ち込みやすい、疲れやすい、元気がない、声が小さい……といった症状が、心当たりがないのにもかかわらず出てきたときは、肺が弱っているサインかもしれません。

肺はとてもデリケートです。感傷的な気分を引きずらないためにも、意識して肺のケアを心がけいくといいでしょう。

平地 治美 薬剤師、鍼灸師。 和光鍼灸治療院・漢方薬局代表

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ひらぢ はるみ / Harumi Hiraji

東洋鍼灸専門学校非常勤講師、日本東洋医学会代議員。朝日カルチャーセンター、津田沼カルチャーセンターなどで漢方関連の講座を担当。明治薬科大学薬学部卒業後、漢方薬局勤務を経て、東洋鍼灸専門学校に入学。漢方治療の大家である寺師睦宗氏に漢方を、石原克己氏に鍼灸を、クリシュナU.K氏にアーユルヴェーダ医学を学ぶ。著書に『げきポカ』(ダイヤモンド社)、『舌を見る・動かす・食べるで健康になる』(日貿出版)など。You tube「平地治美・漢方チャンネル」も開設。ブログ「平地治美の漢方ブログ」。

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