これから人は100年生きるという。しかし、お金や孤独、健康不安がなく老後を迎えられる人はどれくらいいるだろう。年を取ることが怖いーー。
多くの人が漠然とした不安を抱く中、老後の人生こそ謳歌している人もいる。その元気は、気力は、生きがいは、いったいどのようにして手に入れたのか。本連載では、“後期高齢者”になってなお輝いている先達に、老後をサバイブするヒントを聞く。
100歳を超えた今でも週6で店に立つ
東京都・目黒区の住宅街の一角に、御年102歳の薬剤師、幡本圭左(けさ)さんが営む「安全薬局」がある。
開業は1952年、幡本さんが30歳のとき。幡本さんが店に出て薬の販売や調剤を行い、夫が事務方を務める二人三脚でスタートし、夫が亡くなった16年前からは1人で取り仕切ってきた。
昭和に建てた店舗兼住居の大きな看板やショーウィンドウは、ほぼ当時のまま。着慣れた白衣姿の幡本さんの柔らかな佇まいと年月を経た建物の落ち着きが相まって、店内には温かな時間が流れている。
安全薬局の営業時間は月曜から土曜の10時から18時。定休日は日曜と祝日のみで、100歳を超えた今でも、幡本さんは週6日、開店から店に立つ。
2022年7月に99歳292日で、「世界最高齢の現役薬剤師」としてギネス認定を受け、2年後の101歳のとき、その記録を更新した。
「私はいくつまで仕事を続けようと気張ってやってきたわけではなくてね。でもこうやって今日も仕事をしていられることが、一番の幸せです」
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