「ハチに2回刺されたら死ぬ」説が"迷信"ともいえないワケ…「ミツバチ」でも危険! 秋になると増える《ハチ被害》刺されたらどうなる?

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スズメバチ
キイロスズメバチ。体長は17〜28mmほどになる(写真:夏秋優医師提供)

夏ごろからたびたび耳にする、スズメバチのニュース。実は、秋もまだスズメバチの活動は活発で、危険な季節であることをご存じだろうか。

夏から秋にかけてスズメバチの巣が大きくなる。働きバチの数も増えて活動も活発になり、スズメバチに刺される被害も急増するのだ。

直近でも9月20日、長野県の戸隠神社参道で、小学生を含む観光客ら11人がキイロスズメバチに刺された。7月には北海道芽室町のテニスコートで、17人が同じくキイロスズメバチに刺される事故も発生している。

2024年10月には愛媛県の渓谷で登山客9人がスズメバチに襲われ、2023年9月には大分県で駅伝の練習中に高校生22人が刺されている。同年10月には岐阜県高山市のトレイルイベントで42人が襲われるなど、秋にかけて全国各地でハチによる事故が多数起こっている。

これらスズメバチやアシナガバチなどに刺されて命を落とすこともあり、実は国内で毎年20人前後の死者を出している。

【写真を見る】「恐ろしすぎるスズメバチの毒針」と、刺されて腫れ上がった腕(9枚)

最恐生物「スズメバチ」は秋が危険

ハチに刺されるのが初めてで、1〜2カ所程度であれば、局所を冷やすなどの対応で、痛みや腫れ、かゆみは落ち着くという。ならばなぜ、死者が20人にもなるのか。

「毒が強くて死に至るのではなく、毒によってアレルギーを起こす抗体ができ、その作用で死に至るのです」

近畿中央病院の皮膚科部長を務める夏秋優医師はそう語る。虫好きで全国各地で虫の写真を撮り、虫や毒虫について調査を重ねてきた。皮膚科医として皮膚疾患を専門とし、毒虫の知識を診療に役立てている。

「毒虫先生」の異名を持ち、ハチにも詳しい夏秋医師に、「ハチ毒」のメカニズムや対応について聞いた。

夏秋優医師
野外で虫の観察をする夏秋優医師。/近畿中央病院皮膚科部長。1959年生まれ。兵庫医科大学卒業後、カリフォルニア大学サンフランシスコ校皮膚科研究員、兵庫医科大学皮膚科学講師、助教授などを経て2021年、兵庫医科大学皮膚科学教授。2025年より兵庫医科大学功労教授(写真:夏秋優医師提供)
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