「ハチに2回刺されたら死ぬ」説が"迷信"ともいえないワケ…「ミツバチ」でも危険! 秋になると増える《ハチ被害》刺されたらどうなる?
ハチ類は、尾の端に長い毒針を持つ。これを肌に刺して毒液(ハチ毒)を注入する。この「ハチ毒」にはさまざまな成分が含まれ、夏秋医師は「毒のカクテル」と表現する。

毒液中には、皮膚に痛みや赤みを引き起こす、活性アミン酸(ヒスタミン、セロトニンなど)や発痛ペプチド類(メリチン、マストパランなど)が含まれる。
そして、アレルギー反応の抗原性物質となる酵素類(ホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼなど)も含んでいる。この酵素類が「抗原(アレルゲン)」と呼ばれる物質で、体内で「ハチ毒特異的IgE抗体」が作られる。
再びハチに刺されると、この毒液の酵素類と体内のIgE抗体が結合し、「即時型アレルギー反応」を起こすのだ。「ハチに刺されると、1回目ではなく2回目が危険」と言われるゆえんはこのためだ。
「ハチ毒の酵素を『異物』と体が覚え、酵素に対抗する『抗体』を作るわけなんです。抗体ができてしまうと、次に同じ酵素成分が侵入してきたとき、非常に強いアレルギー症状が起こります。その一番重症のタイプが、アナフィラキシーです」
アナフィラキシー反応が起こると、15分ほどで全身に症状が出る。かゆみやじんましん、吐き気や嘔吐、腹痛、そして呼吸困難などだ。重篤の場合は、急に血圧が低下する「アナフィラキシーショック」で死に至ることもある。

「過去、いつ刺されたか」が重要
刺されるのが「2回目以降」の場合は、抗体によってアレルギー反応を起こすおそれがあり、3回目、4回目と、刺される頻度が多い人ほど危険だという。
ただし、前回刺されたのが「30年前の子ども時代」などと年月が経っている場合は、また別だ。
「10年以上経つと、体の免疫の記憶は薄れていきます。数カ月前に刺された場合は、ハチ毒に対する抗体が作られている可能性が高いですが、20〜30年前の場合はハチ毒の抗体はもう消えています。『2回目だから危険』なのではなくて、前回刺されたのがいつなのか、ということも重要です」
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