「不登校の16歳」「バイトを転々とし、職場を飛んだ20歳」が《ゴミ屋敷清掃の仕事》に就いた背景…"心が折れない"従業員には特徴がある

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――若いスタッフたちの成長を間近で見られるのは、社長冥利に尽きますよね。

アルバイトから社員になったばかりの20歳の男の子がいるんですが、最初はヤンキー丸出しの風貌で入ってきたんです。高校も中退してバイトを転々としていたけど、どこも続かずに飛んだりもしていて。でも、今は「お客様のところへ見積もりに行かせてほしい」って自分から言いますよ。彼はとくに、お客様と関わりたいという気持ちが強いですね。

ゴミ屋敷
この家の住人は、ゴミの山の中に敷かれた布団で寝起きしていたようだ(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

ゴミ屋敷で悩んでいる人の精神状態

ゴミ屋敷連載
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――もともと社交的な性格だったんでしょうか。

いえ、声も低くてハキハキした印象はない子だったんですけど、最近はスイッチを入れてシャキッとお客様のところへ行っていますね。

お客様から相談をいただいたら、まずは無料の見積もりにスタッフがお邪魔します。そこで依頼するかどうか決めてもらうので、見積もりを担当するスタッフの接客が大切になってきます。イーブイでは「見積もり時の成約率」を数字で出して給料に反映しているので、達成感があるんでしょうね。

見積もりって結構難しいもので、たとえば30万円の見積もりを出した場合に、「なぜ30万円かかるか」という根拠をきちんとお客様に説明できないといけないんです。また、お客様の「本当はこうしてほしい」という想いをくみ取って誘導してあげないといけません。

ゴミ屋敷で悩んでいる方は、自分から「こうしてほしい」となかなか言い出せない精神状態にあることが多いんです。

ただ、彼は「覚えることが多すぎて目の前のことで精一杯」と言っているので、お客様の背景まで考えられるようになるのはもう少し先かもしれません。

ゴミ屋敷
30年間、掃除をしていなかったという家。浴室はカビまみれになっていた(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

――16歳の子も、20歳の子も、ある意味、自分も痛みを知っているからこそ、ゴミ屋敷の住人たちの悩みを理解できる面があるんでしょうか。

あの子、そこまで考えているかな(笑)。いつも楽しそうに働いていますね。さっきも言った通り、そんなに深く考えすぎない人のほうが長続きすることもあるんです。ただ、日々成長しているのは間違いないですね。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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