「不登校の16歳」「バイトを転々とし、職場を飛んだ20歳」が《ゴミ屋敷清掃の仕事》に就いた背景…"心が折れない"従業員には特徴がある

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――スタッフを採用するときに設けている基準はあるんでしょうか。

重いモノを持てるとか、片付けが得意とか、収納術を知っているとか、そういうのはどうでもいいんです。仕事はやっていくうちに自然と覚えていきます。それよりも、人間性を重視しています。

「見栄えのいい収納ができる」なんて、その人の自己満足でしかなくて、お客さんを満足させられる仕事とはまったく別モノだと思うんですよ。いくら綺麗に片付いてもそのお客様にとって使いづらかったら、なんの意味もないじゃないですか。

ゴミ屋敷
ネズミが大量発生している家の清掃。いつ出くわしてもおかしくない状況の中、黙々と作業を進める(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

高校を中退して入社した16歳の少年

――「イーブイ片付けチャンネル」を観ていると、みんな楽しそうに作業をしていることがよくわかります。ただ、ときにはスタッフとぶつかることもあるそうで。

僕はこの仕事を「清掃業」ではなく、「サービス業」だと思っているんですよ。だから、お客様に冷たい対応をしたスタッフにはしっかり怒ります。以前、モノ屋敷に住む1人暮らしの女性から依頼が来たんですが、口コミに「二度と利用しません」と書かれたことがありました。僕は別の現場にいたので、後でそのお客様に電話をして理由をお聞きしたら、こう話すんです。

「“これも捨てましょう、あれも捨てましょう”と急かされて、言葉もだんだん荒くなっていった」と。

ゴミ屋敷
天井までゴミが積み上がった現場も少なくない(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

――そのスタッフとはどんな話をしたんでしょうか。

そのスタッフにも言い分はあって、「次の現場もあるし、短時間で効率的に終わらせていったほうが会社の利益にもなる」と言いました。たしかにそうかもしれません。でも、「お客さんから依頼が来るのを当たり前だと思わないで」と伝えました。

「もし、家族がゴミ屋敷で悩んでいるときに依頼した業者が売り上げばかり追求して、考える時間も与えずにどんどんモノを捨てていったらどう思う?」って。

ただ、会社に対する情熱は、社長と社員の間に温度差があるのは当たり前だと思っています。だから、「言い方キツかったかな」とか、僕も反省することはありますね。

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