――漫画『「ゴミ屋敷」〜孤独な部屋の住人たち〜』の中では主人公の青野が先輩から注意を受けたり、ゴミ屋敷の住人と対話をしたりする中で仕事に対する考え方が変わっていく様子が描かれています。実際の現場でも、スタッフの成長を感じることはありますか。
若い子たちが多いのでやっぱりありますね。今、16歳の男の子がめちゃめちゃ頑張ってくれているんです。高校を不登校になっていたんですけど、「イーブイの社員になる」って言って学校も辞めて。
もともと彼のお兄ちゃんがうちで働いていたんですが、「弟がこんな状況なんで、一度バイトに来させてもいいですか」って相談を受けたんです。
――16歳では、初めは右も左もわからないですよね。まず何を教えるところから始まるんですか。
ゴミ屋敷清掃の作業は大きく「部屋の仕分け」と「外への搬出」に分かれるんですが、年齢に関係なく初めはひたすら搬出だけをやってもらうんです。力仕事なのでエレベーターがあっても大変ですが、5階で階段しかない現場もあります。
まずは搬出のしんどさを知ってもらい、それから初めて部屋の中で仕分けをしたり、お客様と一緒に片付けたりできるようになります。

職場を飛んだ末にたどり着いた20歳の青年
――そのしんどさを知らないまま仕分けに回ってしまうと、搬出を担当するスタッフに対して気を遣えないですもんね。
実は、その子にはもう仕分けもやってもらっています。あるときキッチンの下にある収納にゴキブリが大量に湧いていたんですが、「俺、いきますよ」って頭から突っ込んでいったことがあって。「コイツやるな」って思ってから、どんどん教え込んでいますね。
今ではその子が友だちをたくさんアルバイトに呼んでくれて、イーブイには10人くらいの高校生軍団がいるんですよ。

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