布団敷きのバイトは「1組70円」「休日は聖地巡礼」日本在住11年"艦これ"オタクのベトナム人男性が語る≪日本の生活≫のいいところ

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「その頃はまだ日本語がうまく書けなかったので……。日本語の能力が足りないと断られてばかりでした」

それでもベトナム人の先輩の紹介でどうにかレストランのホールのアルバイトにありついた。それとホテルの布団敷きだ。旅館でもよくあるが、館内の別の場所でお客が夕食をとっている間に、部屋に布団が敷かれているアレだ。こういう仕事もいまや外国人頼みなんである。

「布団を出してカバーをかけて整えて、掛け布団と枕をセットして、それで1組たしか70円でしたね」

なんという薄給……と思ったが「がんばれば1時間で2000円くらいは稼げるんですよ」という。

やがてヒウさんは『艦これ』の沼にハマりつつ日本語を上達させ、寮を出て別府の街に引っ越した。APUのベトナム人、日本人と古い一軒家を貸し切ってのシェアライフだ。

「温泉が出る共同浴場がついていたんですよ。それに、山のほうにあって、海が見渡せるんです。あれがすごくいい景色で、これが日本の生活なんだなって」

コンビニバイトのお客さんとの温かな思い出

そしてアルバイトは語学力がある程度ついてきた外国人の例に漏れずコンビニへ。

「お客さんの中に常連のおじいさんがいたんです。すごく親切で優しくて、コーヒーをおごってくれたりして」

ご自宅に誘われたこともあった。老夫婦ふたりにお腹いっぱい日本食をごちそうになった。

「亡くなった息子さんが、私によく似ていたそうなんです」

ヒウさんの心に、深く刻まれた思い出になった。

後編『履歴書は手書き必須、最終面接で全落ち…在日11年ベトナム人男性が体験した就活地獄と≪日本の仕事≫のリアルでは、ヒウさんが経験した壮絶な就活や転職した経緯などを紹介する。

ヒウさん
やはり日本に暮らすベトナム人の彼女とは将来についても考えているそうだ(写真:筆者撮影)
室橋 裕和 ライター

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むろはし ひろかず / Hirokazu Murohashi

1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌に在籍し、10年に渡りタイ及び周辺国を取材する。帰国後はアジア専門のライター、編集者として活動。「アジアに生きる日本人」「日本に生きるアジア人」をテーマとしている。主な著書は『ルポ新大久保』(辰巳出版)、『日本の異国』(晶文社)、『おとなの青春旅行』(講談社現代新書)、『バンコクドリーム Gダイアリー編集部青春記』(イーストプレス)、『海外暮らし最強ナビ・アジア編』(辰巳出版)など。

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