都内で「トルコ人以外のケバブ屋」がじわり増えている。その理由を日本在住31年・中野の人気店を営む”バングラデシュ人店長”に聞いた

地域ではよく知られた、常連客の多い店
「この場所からは、まわりがよく見えるね。それで常連のお客さまが通ったら、私必ず声かける。遠くにお客さま見えたらアイコンタクト。それでまたケバブ買ってくれる」
シュワブさんは達者な日本語でまくしたてる。
東京都中野区、新井薬師門前の交差点だ。五差路に突き出すように建つ小さなケバブ屋「FAN 1 FOOD」から、5年ほどこの街を眺め続けてきた。
「ケバブ屋のいいところはね……あ、いらっしゃいませー!」
さっそくお客がやってきた。「元気、最近どう?」なんて声をかけている。手早くケバブサンドをつくって手渡す。
「いまの人、常連。よく来てくれる。でも私、初めて来た人にも話しかける。ゼッタイ話しかける。初めてですか、どこ住んでますか、このへん何年くらいいるんですか……。そしたらみんな、いろんなこと返してくれるね。先週引っ越してきました、前はどこそこ住んでました、あなたどこの国から来ましたか、とかね。コミュニケーションすれば、また来てくれる。今日で終わりじゃない。あ、そうケバブ屋のいいところね」
仕事の手を休め、店のたもとに設えられたテーブルに座って、シュワブさんはまた話しだす。

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