活動を通じて、多くの子供たちと会いましたが、その中でも忘れられない男の子がいます。
あるとき、ニューヨークのブロンクス地区にある図書館のイベントに招待されました。マンハッタン北部に位置するブロンクスは、ニューヨークの中でも貧困率の圧倒的に高い地域。家庭の事情などで大学進学どころか、高校すら卒業出来ない子も少なくありません。
雨の中、二人抱き合って号泣
この図書館で漫画教室とちょっとした講演をしたときに、注意力散漫な子たちに混じって、一生懸命私の話に耳を傾けているのがマックスでした。彼の夢は、将来日本に住むこと。漫画とアニメが大好きな優しい黒人の男の子でした。彼には5人も下に弟がいて、母親とおばあちゃんしかいないという状況でした。
「高校卒業したらオレ、すぐ働かくっちゃ。オレが家族支えないといけないからね。だから日本に行くのは夢のまた夢かな・・・」と寂しそうに言っていたのを覚えています。そこで私は、おカネをかけずに日本で学ぶことができる「JETプログラム」という制度を教えてあげたんです。これは大学の学士号を取得している人が、日本で外国語教師などとして働くことができる制度。これを利用すれば、給与を得られるだけでなく、保険や家も保証してもらえます。
マックスが日本に本当に住みたいのなら、頑張って勉強して4年制大学に行くしかない。「今からでも高校でいい成績を収めれば、奨学金ゲットできるよ。日本は頑張っている人に英語を教えてもらいたいからね」とアドバイスをしました。
数年後、この図書館にまた招待されていくと、背の高くなった彼がいました。なんと奨学金を得て、マンハッタンの大学に進学することが決まったとのこと。「ミサコのアドバイスを受けて大学進学決めたんだ。諦めなくてよかった。絶対将来日本に行くから」と最高の笑顔で話してくれました。
初めて自分のメッセージが人を変える影響力があるんだと、興奮しました。雨の中二人でバスの前で号泣してハグしたのを今でも覚えています。
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