日本にも蔓延する「ポジティブ思考」という病

「いつもニコニコ」が成功の妨げになっていた

ドイツでは、ポジティブ発言が多く、かつ笑顔を絶やさない人は「新興宗教の勧誘の人かしら」と警戒されることもあります(写真:wavebreakmedia / PIXTA)

ドイツにおいてはネガティブなことをいっさい言わずポジティブなことしか言わない人は、「自分の頭で考えることのできない中身のない人」「知識や教養がないから批判のひとつもできない人」と思われることが、しばしばあります。なお、ポジティブ発言が多く、かつ笑顔を絶やさない人に関しては「新興宗教の勧誘の人かしら」と周囲の人から警戒されることもあります。

ヨーロッパ人は米国人と比べるとネガティブ思考の人が多く、あまり「ポジティブ思考」なるものを信用していない人も多いのですが、ドイツで育った私もまた「ポジティブ思考」に違和感を抱くひとりです。

「暗い話」で意気投合するドイツ人たち

確かに米国人はポジティブです。彼らと話していると、愚痴やネガティブな内容のことを聞かされることはまずないですし、口から出る言葉は前向きそのものです。あまりついていけていない私を察してか、ご丁寧に“Be positive!” (「ポジティブにね!」)とか“Think positive!”(「ポジティブに考えよう!」)と言ってくださる方もいます。

ネガティブなことをいっさい口に出さないあの明るさには、きっと何か裏があるのではないか、と当初はよく勘ぐったものです。「心の中は本当のところ、どうなっているのだろう。何かどす黒いものが渦巻いているのではないか……」などと、ひねくれた考え方をしたことも一度や二度ではありません。

というのも、同じ人間であるにもかかわらずドイツ人は基本的にネガティブな情報を発信するのが好きな人たちです。初対面であっても、あいさつや自己紹介もそこそこに「天気が悪すぎる、政治も悪すぎる、地球の環境汚染が心配だ、食品の安全も心配、仕事は大変だし、ITによって世の中からはどんどん人間らしさが失われているし、そもそも……」とネガティブな話が延々と続くことが珍しくありません。聞いている側もうなずきながら、自分のさらなるネガティブ体験を語ったり、ネガティブな会話の中でお互い意気投合したりと、何気に楽しそうです。

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