「楽観的」というだけで、10年も寿命が伸びる NHK「白熱教室」が迫る脳科学の最前線

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成功する人は楽観的? 楽観脳の本質に迫る(写真 : miya227 / PIXTA)
「人間は楽観脳と悲観脳のバランスでできている」。7月24日夜、Eテレ「心と脳の白熱教室」のレクチャラー、エレーヌ・フォックス・オクスフォード大学教授の、第1回の講義が放送されると、ツイッターのタイムラインは、「楽観脳」「悲観脳」の言葉でにぎわった。そのフォックス教授が、番組放送に先だってその回ごとのポイントをわかりやすく伝える全4回の予習シリーズ第2弾は、「本当の楽観主義とは」。成功する人は楽観的な人なのか? その性格はどこから来るのか? いよいよ「楽観脳」の本質に迫ります(第2回の放送は、NHK Eテレで、7月31日(金)23時からの予定)

 

NHK「心と脳の白熱教室」第1回では、主に悲観的な性格について考えました。第2回となる今回の講義のテーマは「本当の楽観主義とは何か」です。

楽観的な性格は実際の健康や成功に結びつくか

前回の講義では、悲観的な「思い込み」が本当に人間を病気にし、ひいては死を招くことさえある、という例を紹介しました。それでは逆に、楽観的でポジティブな性格が実際の健康や成功に結びつくこともあるのでしょうか?

こんな調査があります。

2001年にケンタッキー大学のデボラ・ダナーらが発表した有名な研究です。ダナーたちは、全米で1930年代に修道院に入った180人の修道女が書いた自叙伝を検証しました。修道院に入ったときの彼女たち(平均22歳でした)がそれまでの自分を振り返って紹介した文章を分析して、どの修道女が楽観的で、どの修道女が悲観的だったかを点数化したのです。

そして、約60年後の90年代。研究チームは彼女たちに接触しました。
するとなんと、楽観的な修道女のほうが長生きしていることが明らかになったのです。

その時点で180人のうち76人が死亡していましたが、若いころ陽気で明るい自叙伝を書いた修道女は、暗い文章を書いていた修道女よりも、平均で10年も長寿でした。

修道院という環境で、同じように禁欲的で健康的な生活を送っていながら、バラ色の世界観をもつ「だけ」で10年以上の長寿が得られたのです。

健康や寿命だけではありません。

ビジネスや人生での成功にも、楽観主義が大きくかかわっている例をあげましょう。

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