
日本を代表する社会学者であり、フェミニズムの牽引役でもある上野千鶴子氏は、「人生相談の名回答者」としても知られる。

「女たちのサバイバル作戦」(文春新書)は大きな話題に
朝日新聞の人気人生相談連載「悩みのるつぼ」では、性に悩む中学生や人生をリセットしたい70代主婦など、年齢、属性の異なるさまざまな人の悩みに、歯に衣着せぬ直言で答え、大変な反響を呼んでいる。
その上野先生が、長年教鞭を執った東大に帰ってきた。”日本の働く女性はしあわせになったのか”を問うた話題作「女たちのサバイバル作戦」(文春新書)刊行記念ブックトーク(主宰/東大生協書籍部・文藝春秋)で、今後のキャリアや、女性でいることの生きづらさを感じる現役女子大生の悩み相談に乗るためだ。
現役東大女子は、いったい、どんな悩みを吐露するのか?そして、上野先生はそれにどう答えるのか?上野流「白熱教室」を再現する。
何をモチベーションに生きていけばいいの?
上野:では、あとおひとり、何かご質問やお悩みはありますか?
Dさん(以下、D):学部の3年生です。これから、就活なのですが、総合職も一般職もツライという現実を前にして、何をモチベーションにして、今後、働いたり出産したりしたらいいのか、だんだんわからなくなってきてしまったのです。
これから未来に進むにあたって、われわれがモチベーションになりえるものについて教えていただけませんか?
上野:今のあなたにモチベーションってある? たとえば、あなたは自分の能力を人に認められたい?
D:はい、認められたいです。
上野:では、社会に貢献したい?
D:うーん。そういう大きなことよりは、身近な人に幸せになってほしいなと、思います。
上野:では、親を喜ばせたい?
D:親を安心させたいとは思います。
上野:うんうん。で、本題に入るけど、「自分のモチベーション」とは何か?って、よくよく考えるテーマだよね。何のために生きているか?に等しい問いかけだもの。
ところで、あなたたちの世代はおそらく「人生100年時代」を生きることになると思うの。日本は文明国だから、人生、なかなか終わらせてくれないから。
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