人間は「思い込み」だけでも死んでしまう! NHK「白熱教室」で語られる最先端科学
NHKの「心と脳の白熱教室」の講義は、オックスフォード大学にある美しいマグダレンカレッジの劇場で行われました。オックスフォードの学生のみならず一般の人々にも公開された全4回の講義では、私の専門である脳科学の最新の知見を一緒に学ぶことになります。第1回のポイントは、「思い込みと恐怖」についてです。
まずは「思い込み」。みなさんは「思い込み」によって人は健康にも不健康にもなり、時には何の病気にもなっていないのに死んでしまうことがあると聞いたら信じますか? 実は、この「思いこみ」が病気を引き起こすことがあるというのは、心の科学の分野では、すでに共通の認識でもあるのです。
がんで死んだ患者はがんではなかった
2005年にクリフトン・メドア博士が科学誌に発表した論文では、多くの臨床例を基に、この問題を重点的に取り扱っています。そこには末期の肝臓がんと診断され、余命数カ月と宣告された患者の例が報告されています。
その患者は、告知後、がっくりと気落ちし、みるみる体力を失い、告知された余命すらまっとうできず死にました。しかし、驚いたのはその死後のことです。実は医師の診断が間違っていたことがわかったのです。患者はがんなどにはかかっていませんでした。彼は「自分はがんで死ぬ」と信じたせいで死ぬことになってしまうのです。
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