では、実際にどんな活動をしているのか。私の例をお話しします。私は主にアメリカでは、小学校から大学、美術館に招待されて講演会をすること多いです。
初めて講演したのは2006年、場所は当時住んでいたウィスコンシン州マディソン。アメリカで一冊目の漫画を出版した年でした。当初は、自分の本をプロモーションするために高校を訪問し、本の紹介をしながら講演しようと、ゲンキンなことしか考えていませんでした。この頃は、モチベーショナルスピーカーという言葉も知りませんでした。
人生を変えた真剣勝負の「質疑応答」
美術を専攻していたり、日本文化に興味を持っている生徒50人の前で講演しました。内容は漫画を作る過程を話し、日本文化を軽く紹介する程度。そして、最後に質疑応答の時間を設けていました。
実はこの質疑応答が私の人生を変えました。「どうやったら失敗を恐れずチャレンジできるのか」「やりたいことが見つからない自分にアドバイスが欲しい」など、かなり精神面に関する質問が多かったのです。
失敗や拒絶されてもアメリカで漫画家となると決めて、努力してきた事を語ったからでしょうか。失敗を重ねてもチャレンジし続ける――私のそんな波乱万丈の人生や、日本での子ども時代の話が、生徒たちにものすごく「響いた」のです。
このときひらめきました。私の講演テーマは「こっち」だと!漫画を紹介するだけじゃなく、どうしたらポジティブに、そして色んなことにチャレンジして生きていけるのか。これに焦点を当てるべきだと気が付きました。司書さんが私の講演に感動してくれて、「ミサコの話は子どもたちに勇気を与えるね」と言ってくれました。彼女のお陰でモチベーショナルスピーカーとしてやっていこうと決心がついたのです。
アメリカの子どもたちも、日本と変わらず進路や友達との関係など多くのことに悩んでいます。SNSを多用する彼らは自分を見て欲しいという欲求がすごく高い一方、「目立つ」ために何をしたらいいのかわららずモヤモヤ。モノがあふれている世の中だからこそ、精神的に迷子になってしまいがち。「そんな彼らもアドバイスや指針があれば、一歩踏み出すことができるはず!」と思ったのです。
「ミサコの話を聞くと子供たちがインスパイアされるので是非話を聞かせて欲しい」。その後は漫画家という仕事の紹介だけではなく、私の半生や生き方を話して欲しいと多くの学校からアプローチを受けました。こうして、漫画というツールを通じて、徐々にモチベーショナルスピーカーとしての活動も本格化していったわけです。
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