「野菜を先に食べる健康法」に科学的根拠はあるか…実は日本でしか検証されていない謎ルール
近年複数の論文が出版されてきており、研究者たちのベジファーストの科学的根拠を作る強い意気込みを感じます。これらを少し細かく見てみましょう。
まず食後血糖値が下がるという点については、そのインパクトがどれほどなのかはまだ不明です。悪いことではないでしょう。しかし、例えばそれが糖尿病発症予防や心血管病予防につながるまでの効果なのかは、まだ検証されていません。
「食べる順番」を変えることの効果は要検証
一方で、「食べるもの」を変えることで生活習慣病はかなり予防できることは証明されています。このように考えると、まだ「食べる順番」は「食べるもの」と比較されるような位置には到達していないと言えます。食べる順番を変えることの効果が、食後血糖値だけでなく大きな疾患の予防のレベルにまで及ぶのか、今後の検証が必要です。
また、HbA1cが1%下がったという報告(ランダム化試験)においては、「ベジファーストを主体とした食事指導をする vs. 全く食事指導をしない」の比較です。ベジファーストの効果を検証するなら、「ベジファーストを主体とした食事指導 vs. ベジファーストの部分を抜いた食事指導」の比較が必要なはずですね。
細かい話かと思われるかもしれませんが、そうでもしないと「ベジファーストの効果」は言えません。
実際、食事指導自体は世界的に「(血糖低下を含めた)色んな効果が少しある」ことが一貫して示されています(※4)。HbA1cが1%低下というのははっきりした効果ですが、このうち 「(一般的な食事指導を抜いた)ベジファースト指導のみの効果」はどれほどだったか、わかっていません。
まとめると、極端な結論は出せないことになります。「絶対にベジファーストしなきゃいけない」とか「毎日した方がよい」ということを支持するレベルの根拠はありません。健康に悪いということはないので、その習慣が自分に合うのであれば、やって損はないでしょう。
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