「自他境界があいまいな人」はなぜ疲れやすいのか?"ムダな疲れ"と病気を予防するマイペースのすすめ

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フリードマンは、待合室のイスの前脚が早くすり減るのはなぜだろうと思っていました。

観察していると、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の患者さんは、イスに浅く座り、いらつきながら順番を待っていました。

このことからフリードマンは「タイプAの人は虚血性心疾患にかかりやすい」と提唱したのです。

一方、タイプCの人たちはいわゆる「いい子」です。言い換えると、自己犠牲に非常に寛容な人たちです。

自分を押し殺しがちであり、周りに気をつかいながら、がまん強く生活しています。

こういう人は抑うつになったり、がんになったり、消化器系の病気になったりしやすいといわれています。

がまんしてストレスがたまると、過緊張になって免疫が下がるためです。

ところが、AとCの真ん中にいるタイプBの人たちは、病気になりづらいというのです。

タイプBはマイペースの人です。特に攻撃的でもなく、がまんもあまりしないで、自分自身のペースを維持できています。要は、ストレッサーを上手にコントロールできているのでしょう。

自他境界をあいまいにしない

一時期、KY(空気が読めない)という言葉が流行りました。

日本は強い意見が1つ挙がると、多くの人がそれに従って、自分自身を押し殺すところがあります。

会議でも「そうそう」「わかるわかる」と同調してくれる人のほうが、議事を先に進めてくれる有能な人だと重宝される傾向にありませんか。

海外の人と話していると、周りに合わせようというような感覚はなく、KYでおおいにけっこう、“I think”(私はこう思う)としっかり自己主張します。

同時に「私はこう思うがあなたがそう思うのもわかる」と、相手の主張も尊重しているように感じます。

海外は個人主義、日本は全体主義ともいえるでしょうか。

海外の人々は、心理学でいうバウンダリー(自他を区別する境界線)がしっかりしているのかもしれません。

「自分はフリードマンのタイプAだな」「Cだな」と思う人も、できるだけマイペースを心がけ、ストレスから身を守ってほしいと思います。

片野 秀樹 博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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かたの ひでき / Hideki Katano

東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、一般社団法人日本疲労学会評議員も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指した啓発活動や、休養士の育成活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)、著書に『休養学』『疲労学』(東洋経済新報社)、『マンガでわかる休養学 最高のパフォーマンスを生む休み方』(KADOKAWA)など。

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