ストーカーの中でも特殊なタイプ《神戸女性殺害事件》谷本将志容疑者(35)を異常行動に駆り立てた衝動とは?

神戸で起きた女性刺殺事件は、世間に大きな衝撃を与えた。女性が帰宅直後に自宅マンションのエレベーター内で見知らぬ男に突然襲撃され、命まで奪われてしまったのだ。その動機があまりにも唐突で不可解に見えたことが、人々の不安を一層強めることとなった。
しかし、事件から時間が経つにつれ、容疑者の人物像や過去の行動歴、そして事件直前の行動が少しずつ明らかになってきた。犯罪心理学的に見ると、「親密希求型ストーカー」という特徴的な心理的枠組みである。
とはいえ、事件の全貌はまだ明らかになっているとは到底いえない。わかってきたことと、いまだ謎に包まれている部分を整理しながら、この事件の心理的背景について考えてみたい。
親密希求型ストーカーとは何か
当初、私自身もこの事件の動機について、断片的な情報をもとにさまざまな仮説を出して検討した(「神戸女性殺害事件」異常行動に見る歪んだ動機」「前に首絞め」神戸事件容疑者はなぜ見逃された?」)。
そして、その後新たに判明した情報を合わせて考察すると、おそらくこの事件は、見知らぬ相手へのストーカー事件、特に「親密希求型ストーカー」と呼ばれるタイプに分類される特異なストーカー事件であるという仮説が今のところ最も妥当であるように思える。
ストーカー行為は一様ではなく、犯罪心理学では、いくつかのタイプに分類されて考察されてきた。大きく分けると、「顔見知りに対するストーカー」と「見知らぬ相手へのストーカー」の2つに分類される。数では、前者が圧倒的に多い。
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