長野駅前殺傷事件で示された「リレー捜査」の威力 警視庁で確立したノウハウが地方警察に波及
1月22日、長野駅前で男女3人が男に刃物で次々と刺されて1人が死亡し2人が重軽傷を負った事件で、警察は1月26日、長野市内に住む46歳の容疑者を逮捕した。
警察は今回の容疑者逮捕について、防犯カメラの「リレー捜査」がカギになったと説明している。
昨年12月に福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人が殺傷された事件でも、リレー捜査が容疑者逮捕に大きく貢献したといわれている。
元産経新聞記者で、昨年『事件報道の裏側』を刊行した三枝玄太郎氏も、「昨今はこのリレー捜査が事件解決に大きな力を発揮している」と指摘する。
防犯カメラが捜査を変えた
1990年代後半のことだが、ある警察庁幹部が「近隣住民への無関心が地方にも広がり、目撃情報が得られないのが悩みだ。これに代わる何かがないだろうか」とこぼしていたのを覚えている。防犯カメラは、まさにこの幹部がこぼした悩みを解決する手段だといえる。
最近、事件担当記者と食事に行ったりすると、必ず話題になるのが「防犯カメラは捜査を変えたな」という話だ。ついでに「防犯カメラのせいで、事件が減ったな」という話にもなる。
私がかつて担当をしていた栃木県警の例で見てみよう。2022年の犯罪認知件数は8883件、検挙率は約42%だった。私がいた約20年前の2002年はおおむね4万件、検挙率は20%程度しかなかったから驚きの差だ。
当時は年8~10件くらい捜査本部が設置されていた。捜査本部は重要事件で容疑者の目星がつかないときに設置される。ほとんどが殺人事件だ。
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