その和製英語、海外では全く通じません! 「名古屋のモーニング」も不思議な意味に…

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ともあれ、ハナコさんのプレゼンテーションはふたつの和製英語を除いて、映画の魅力が皆に伝わる本当にすばらしいものでした。ハナコさんには言わなかったのですが、久しぶりにシンデレラの話を聴きながら、

Why didn’t the glass slippers vanish when the spell was broken?「魔法が解けたとき、ガラスの靴はどうして消えなかったのか?」

 と、筆者は妙に気になってしまったのでした。やっぱり、こんなことを思ってしまう夢のないオジサンには、シンデレラは向かないかなぁ……。

欲しいのはどんな鉛筆?

先日、英語研修のターム終了時に、TOEICのIPテストを派遣先の企業で行なったときのことです。スコアが今期の研修評価に直結するとあって、研修生たちはいつもよりも緊張気味。会場にひとり、またひとりと徐々に集まって、15分前にはほぼ全員揃いました。

いつもならここで歓談になるはずが、妙に静まり返って、中には「真新しい」単語帳を必死にめくる研修生も……。Don’t worry! You’ll be fine. (心配しなくても、みんな大丈夫だよ)と励ましつつも、筆者も「ちゃんと全員スコアアップしてくれるかなぁ?」と妙に緊張してきました。

最後のひとり、タロウさんが現れたのは集合時刻の10分前。部屋に入るなり、「Oh, no! I’m ビリですか?」とタロウさんが驚くと、みんなも思わず笑って、少し緊張がゆるみました。彼は、席についてゴソゴソしていたかと思うと、今度は突然立ち上がって筆者に

Excuse me! I forgot a sharp pencil! (先生!シャーペン忘れました)
と叫び、またみんなで大笑い。

ただ、このa sharp pencilというのは和製英語なので気をつけましょう英語でa sharp pencilというと文字通り「尖った鉛筆」という意味ですから、削って尖った状態の鉛筆のことになってしまいます。

I forgot a sharp pencil. (尖った鉛筆持ってきませんでした)と言ったら、Do you need a sharpener? (鉛筆削りが必要?)なんて言われてしまうかも。シャーペンは英語ではa mechanical pencilと言います。ですから、I forgot a mechanical pencil.やI forgot my mechanical pencil.というのが正解です。ただ、ふだんの会話ではシャーペンでも、ただa pencilということが多いと思います。本当の鉛筆と区別するときだけ、a mechanical pencilと言えばよいでしょう。

鉛筆の話ついでにもうひとつ。a sharp pencilは尖った鉛筆ですが、逆に先の丸くなった鉛筆は英語で何と言うと思いますか?多くの生徒がa round pencilと言うのですが、これも日本人ならではの直訳英語です。a round pencilは確かに「丸い鉛筆」という意味ですが、色鉛筆などによく見られる円筒形の丸い鉛筆のことを指します。普通の鉛筆はa hexagonal pencil 「六角形の鉛筆」ですよね。まあ、あまりこんな風に鉛筆の形状の話をすることはないと思いますが……。

では、先の丸い鉛筆は何と呼ぶかというと、a dull pencilと言います。dullには「尖っていない、鈍い」という意味があります。同じような形容詞でbluntというのもあり、a blunt pencilという人もいます。米国ではa dull pencilの方が一般的なようです。

このdullやbluntという形容詞は刃物にも使うことができます。切れ味の悪いナイフなどはa blunt knifeと言います(a dull knifeも可)。筆者はナイフにはdullよりもbluntの方が一般的だと思いますが、どちらがいいかというのにはネイティブでも個人差があるかもしれませんね。

タロウさんに予備の鉛筆と消しゴムを渡すと、「先生の鉛筆で解いたらいい点数取れるかも!ラッキー!」と喜んでいました。Good luck, Taro! (タロウさん、頑張れ!)

The lucky pencil 「幸運の鉛筆」で頑張ってくれたタロウさんでしたが、筆者の思いも虚しく、なんとクラスで伸び率が最下位でした。Oh, no! なんということでしょう! 次回は自分の鉛筆を持ってきてくださいね……。
 

箱田 勝良 英会話イーオン 教務部 チーフトレーナー

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はこだ かつよし / Katsuyoshi Hakoda

1972年静岡県熱海市生まれ。1995年筑波大学国際関係学類卒業、株式会社イーオン入社。

講師として、これまでに約1万人を教える。スクールの講師を経た後、法人部教務コーディネーターとして、多くの企業の研修カリキュラム企画と講師を担当。楽天の社員の英語力研修も担当した。TOEIC(R)テスト990点満点、実用英語検定1級。

学生時代には1年間の留学以外には海外経験なしで、日本に住み暮らしながら英語力を飛躍的にアップさせた。その自身の経験を基に、現在は教務部のチーフトレーナーとして、イーオン全体の講師の研修やカリキュラム立案に関わる。

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