研修直後の1on1ミーティングでは、「この仕事は、どのような手順で進めていきたいかな?」「そのような手順で進めると、どのような気分になるかな?」……などと質問していたのに、1週間も経つと次のように変わる。
「そんな手順、誰が教えた?」
「わからないんだったら、誰かに聞かないとダメだよ」
さらに1週間も経つと何も言わなくなり、部下から「相談に乗ってほしい」「アドバイスしてもらいたい」と話しかけても、「後にしてくれるかな」「今忙しいんだよ。見ててわからない?」と部下を邪険に扱う始末。そして自分の手が空いたころになって、部下に話しかけるようになる。
「また1on1ミーティングをやろう。さあ、なんでも話して」。そう言いながら研修で習った質問集を手にして、面談を始めるのだ。こうした上司の姿を、部下たちは冷めた目で見ている。「また始まった」「今回は何日続くかな」と思いながら。
自分視点から相手視点の「話し方」に変えよう!
相手の立場に立って考える。これはビジネスの基本だ。
なのに研修の高揚感に浸ってしまうと、この当たり前のことを忘れてしまう人たちがいる。特に「研修慣れ」していないベテランたちは気を付けたい。部下たちは冷静に見ている。上司の変化が本物か、ただの付け焼き刃か。その違いは、「話し方」一つで明確に伝わってしまうのだ。
今の若者の多くは、大学でコミュニケーション理論やリーダーシップを学んでいる。ファシリテーションやディベートのトレーニングを受けた者も少なくない。40代50代の上司が研修で初めて触れる内容など、とっくに知っている。上司の「覚えたてのコーチング」に触れて苦笑いしているかもしれないのだ。
だからこそ、「話し方」のスキルを上げたいなら、自分視点を捨てて相手視点を身につけよう。そうすれば、部下にどんな知識が足りていて、何が不足しているかが見えてくる。もし、自信がないなら、正直にこう聞いたらいい。
「研修ではこう学んだけど、○○さんはどう思う?」
蛙化現象は、上司自身が作り出していると肝に銘じるべきだ。
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