【朝ドラ】やなせたかし「来る仕事は全部ひきうけた。ことわるほどの身分じゃない」NHK番組に出演して驚愕のワケ

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やなせは自身が子どもの頃に絵描き歌が好きだったことから、「新絵かき歌」として毎週ネタを考えて、評判を呼んだようだ。

子どもにサインをせがまれて困ったこと

そして、やなせが驚いたことの3つ目が、テレビの影響力である。番組が始まってからというもの、つきあいでバーに行けば、ホステスから「うちの子が漫画家になりたいっていうのよ。一度絵をみてやってくれない」と相談されることもあったという。

そして電車や船でも子どもが寄ってくるようになり、映画館でも明るくなれば、周囲に子どもが集まるほど、やなせは有名になった。

ひとつ困ったのが、子どもたちが群がってきて「サインください」と言われても、自分には代表的な作品がないということである。せっかくなので、漫画家らしくサインに文字だけではなく絵もつけたい、そんな思いがやなせにはあっただけに、十分に応えられないことに、もどかしさを感じていたという。

「歌手に持ち歌があるように、誰でも知っている人気キャラクターを持たなければ、この世界では存在しないと同じということを痛切に思い知った。 さりとて、ローマは一日にしてならず、いくらあせっても、やすやすと人気キャラクターは生まれない」

このオリジナルキャラクターへの思いが、のちに「アンパンマン」の誕生へとつながっていく。

この番組をきっかけに、子ども向けの雑誌からも声がかかるようになった、やなせたかし。人生の一大転機が近づいていた。

(つづく)

アンパンマン(写真:筆者撮影)
アンパンマン(写真:筆者撮影)

【参考文献】
やなせたかし『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)
やなせたかし『ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか』(PHP研究所)
やなせたかし『何のために生まれてきたの?』(PHP研究所)
やなせたかし『アンパンマンの遺書』 (岩波現代文庫)
梯久美子『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』 (文春文庫)
真山知幸『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『ひょんな偉人ランキング ―たまげた日本史』(さくら舎)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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