「わざわざ飛びながら眠る」鳥がいる理由とは?動物の≪睡眠にまつわる疑問≫を東大准教授が解説!人間の”ぐっすり眠る”も実は習性ではない?
渡り以外の時期は夜になると飛んでいるということは、実は夜行性? だが明らかに、日中も活動している。
さて、この「夜間飛行」をレーダーで追跡してみると、面白い観察があった。アマツバメは数秒間羽ばたきを止め、スーッと滑空しながら高度を下げては、また羽ばたいて上昇する飛び方を繰り返していることがある。この「滑空している数秒間」が、睡眠だと考えられている。彼らは数秒ずつ細切れに眠っているのだ。
ちなみに渡りでもない時にまで、なんでわざわざ飛びながら眠るのかというと、これはおそらく、睡眠中に捕食されることを避けるためだ。
ハリオアマツバメは樹洞(じゅどう)に営巣したりするが、これはむしろ、木登りできる捕食者に狙われやすい場所である。空中で襲ってくる敵はハヤブサのような猛禽だけだが、彼らは基本的に昼行性で、夜間に捕食することはまずない。
つまり、夜間上空にいれば、たとえ眠っていても襲われることはない。軍用機も爆撃によって地上で破壊されるのを避けるため、敵機の接近を察知すると離陸してしまう「空中退避」という手を使うことがあるが、それと同じである。
糸の上で寝るダニ、空を飛びながら眠るグンカンドリ
カンザワハダニというダニの一種も脱皮前の静止期にケナガカブリダニに捕食されないよう、葉面上に立体的に張り巡らせた糸の上に退避していることが知られている。飛ぶわけではなくても、樹上や高所で眠るのは鳥もよく使う手だ。
グンカンドリも数カ月飛び続けることがあるが、上昇気流に乗っていられる間だけ、10秒ほどの短い眠りを繰り返していることがわかっている。眠っている時間を合計しても、1日1時間に満たないとのこと。
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