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「人手不足でインフレ」なんて楽観できない日本の行く末、消費が縮む「縮小均衡」はすでに始まっている…アメリカでも「関税ディスインフレ」

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高くなったホテルに泊まる代わりにキャンプ(写真:PIXTA)

日本は人手不足なので供給不足になってインフレ率が高まっていく……という見方が増えているが、筆者は懐疑的である。そうした見方は「楽観的」過ぎるという立場である。

人手不足でインフレ、という見方は、家計がインフレを受け入れざるを得ないため「悲観的」だという文脈で語られることが多いが、インフレになるということは一定程度の需要の強さが前提となっている。

実際には人手不足で供給力が落ちるのと同時に、需要も落ちていくことでインフレにもならずにバランスしていく(縮小均衡に向かう)というパスの方が「悲観的」であり、日本経済の不都合な真実である可能性が高い。

アメリカは「関税インフレ」のはずが「節約と値下げ」

最近、筆者の立場を裏付けるような動きがアメリカで生じている。8月20日に公表された米小売大手のターゲットと、8月21日に公表された同じく米小売大手のウォルマートの決算の結果である。

筆者はアメリカの小売業のアナリストではないので、独自の評価をする立場ではない。そのため、決算の結果については報道の内容を紹介したい。

まず、ターゲットは「米景気の減速を背景に消費者の支出意欲が低下し、衣類や家具などの非必需品の販売が減った」「コーネル氏(CEO)は、インフレの長期化で消費者の節約心理が強まり、必需品以外への支出を抑制したと説明した。ウォルマートやコストコ・ホールセールといった競合店との集客競争でも苦戦を強いられた」(日本経済新聞)と報じられた。

他方、ウォルマートは「安さが武器のウォルマートは『関税インフレ』が懸念される局面で競合から客を奪っている」「そんなウォルマートでも、厳しいコスト環境に置かれていることを今回の決算は示した」「収益面で関税コストが徐々に負担になっている」「マクミロンCEOは21日、5〜7月期には前の期よりも2000品目多い7400品目で値下げしたと述べた。他店との相対的な価格差を維持する『プライスギャップ』がウォルマートの戦略の肝だ。このため、むしろ値下げした商品もあったとの説明だ」(日本経済新聞)と報じられた。

インフレに慣れているアメリカ国民もインフレ疲れで低価格のウォルマートに向かっている。そのウォルマートは「関税インフレ」の価格転嫁に躊躇している。

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