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ふるさと納税の新データを全記者が誤読した理由、自治体が返礼品をポータルサイトに載せるためにいくら使っているかはブラックボックスのまま

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総務省は今年、ふるさと納税をめぐる新たなデータを公表した(編集部撮影)

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ふるさと納税の規模が年1兆円を超え、自治体間での「税」の奪い合いが激化している。肉、果物、コメ、旅行券……。多種多様な返礼品を紹介するポータルサイトが業界で圧倒的な力を持ち、自治体職員には疲弊の色が見られる。ふるさと納税に伴うポイント付与が10月から事実上禁じられるのを前に、業界ウォッチャーの平田英明・法政大経営学部教授が実情をリポートする。
 漫画『ゴルゴ13』で、主人公が狙撃した対象が、すり替えられた人形だったというエピソードがある。思いもよらない対象を撃たされた感触を「いやなもの」だと主人公は漏らす。

筆者の場合は、7月末に総務省が公表したふるさと納税に関する「現況調査」に「いやなもの」を感じた。

今年度から盛り込まれた新データが理由だった。新データは、ポータルの「運営事業者に支払った費用」だ。

メディアは、ふるさと納税のポータル関連費用の「初公表だ」と報道、ふるさと納税の総額に対する割合(以下、経費率Z)は13%だったとした。

この説明にはいささかの間違いもない。にもかかわらず「いやなもの」を感じたのはなぜか。データを自治体別に細かく見てみると、経費率Zに最小値0%、最大値51%と極端な差があり、中身が判然としなかったからだ。

記者たちがデータを「誤読」した訳

結論を先にいえば、新公開されたデータである経費率Zには、ポータルサイトに返礼品を掲載するために自治体がどのくらいお金を使っているのか(ポータル利用費率=経費率X)だけでなく、それ以外のものも含まれている。ポータル運営事業者経由で支払われた各種の経費率(経費率Y)だ。

各種の経費とは、例えば決済費やシステム利用、証明書などの発送代行など多岐にわたる。

つまり、今回公表された経費率Zは「経費率X+経費率Y」のことであり、自治体によるポータル運営事業者経由の「おまとめ払い」 を集計していることになる。

毎月のスマートフォンの支払いに置き換えて考えてみるとイメージしやすい。経費率Xはスマホの通話・通信料分に相当する。これに対し、経費率Yは、スマホ経由での通話・通信料以外の付加サービスの支払い分、具体例を挙げるなら、自宅のインターネット回線や各種サブスクなどの支払い分に相当する。

次ページ記者の誤読には致し方ない面も…
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